相手に合わせる:コミュニケーションの基本
新学期が始まって、そろそろ新しい生活のパターに慣れだしてくるころでしょうか。生活のリズムができてきたら、ここからがんばるときです。やりたいことに全力でトライしてほしいですね。「今」は今しかないのです。
たとえ親子であっても、物事に対する考え方や行動のしかたがまるっきり違うといったことは、よくあることです。新学期だから目標をもってがんばってほしいという親に対して、あまり失敗しないように無難にやっていこうという(大人びた)子どもがいたりします。このような考え方の違いはどうして生まれるのでしょうか?
あなたは今までに誰かと同じ時間に、同じ場所で、同じことを体験したのに、その出来事に対する印象がまったく違ったという経験はありませんか?たとえば、一緒に映画を見に行っても、終わってからの感想が微妙に違った、という感じです。
人は何かを体験するとき、五感を使って情報を取得しますが、見たものや聞こえた音、匂いや触感は同じでも、それらを識別して記憶するときに、それぞれの”フィルター”を通して行っているそうです。フィルターは人それぞれ、それまでの経験によって身につけているので、まったく同じものにはならないはずです。したがって、感じ方やその反応も人それぞれということになります。それを無理やり、同じようにしようとするのは無駄な努力です。その人のそれまでの人生をなかったことにするのに等しいからです。
考え方や感じ方、反応が異なる人たちと良いコミュニケーションを取ることは、一見難しそうに思えませんか?
でも私たちは、実際にはそれができています。その背景の理解やコミュニケーションの取り方を、親や学校で詳しく習ったわけでもないのに。人には生まれながら、そのような能力、すなわちコミュニケーション能力がある程度は備わっているのです。しかしそれは潜在的な能力なので、引き出して活用しなければ、十分には使えません。つまり、意識的に伸ばさないと、コミュニケーション能力は上がっていかないということなのです。
良いコミュニケーションの基本は、相手にうまく合わせること、相手を頭ごなしに否定しないこと、相手に一方的に命令しないこと、です。否定したり、命令したりするのがいけないのは、なんとなくわかると思いますが、相手にうまく合わせることこそが、より上質のコミュニケーションを築く極意なのです。
相手に合わせるといっても、相手のいうことを鵜呑みにして、なんでもいうことを聞くという意味ではありません。相手の考え方・感じ方のスタイルにうまく乗っかるのです。よく観察すると、いろいろな傾向に気づくはずです。
そのスタイルにうまく合わせることができれば、相手はあなたに安心感、信頼感を抱きます。そのようになると、あなたの言い分も聞いてくれるというもの。
お子さんに、こうしてほしいと思うとき、ダイレクトにそれを伝える前に、お子さんの考え方・感じ方のスタイルを知り、それに合わせるようにして伝えてみてください。思った以上にすんなりと受け取ってくれるはずです。
<to be continued>