「結論を先に言って!」のリスク

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「結論を先に言って!」のリスク

「お子さんとコミュニケーションが取れていますか?」
このように聞くと、ほとんどのお母さんは「できている」と答えると思います。しかし、果たして本当にそうでしょうか?

 

第一に、会話とコミュニケーションは違います。会話ができているからといって、良いコミュニケーションが築けているわけではありません。会話は言葉を交わす一連の行動ですが、コミュニケーションは互いの考え方や気持ちを表現し、共有する活動やプロセス(Oxford English Dictionary/Oxford Learner’s Dictionaryより)です。お互いの意思が正しく伝わっていないと、コミュニケーションではないのです。

 

気持ちを伝えるといっても、一方的に伝えるのも良い関係を築くためのコミュニケーションではありません。あなたの思いを相手に伝え、相手はそれを受け取り、あなたが期待した反応を返すことで、コミュニケーションが成立するのです。したがって、日常的につい言ってしまう「早くしなさい」「勉強しなさい」「ちゃんとしなさい」などの怒りの言葉は、コミュニケーションではないということなのです。

 

そのコミュニケーションがうまくできるようになるには、前回のブログでご紹介したように、相手の考え方・感じ方のスタイルを理解して、それを否定せず、尊重するように合わせることが基本です。相手に合わせるといっても、相手の考え方に完全に同意するという意味ではありません。そういう考え方・感じ方をしているんだね、ときちんと受け止めることが前提で、それに合わせるように言葉を選ぶと、相手はあなたを信頼してくれます。

 

相手の考え方や感じ方は言葉に表れます。相手の言葉の使い方に注意を払っていると、考え方・感じ方の傾向がわかります。
たとえば、「今日、学校で何か大変なことがあったみたいね?」などと聞いたとき、その成り行きを逐次話してくれる子がいます。一方で、最後の結末を先に言う子がいます。これは考え方のスタイルの違いによるものです。前者は「経過型」といわれるスタイルで、後者は「結果型」といわれています。その差の原因となっているのは、小さい頃からの経験の積み重ねです。
「結果型」の人が「経過型」の人の話を聞いていると、「話のポイントがわからない」「何を言いたいの?」と感じます。しかし、「経過型」の人は時間経過に沿って細かく話を進めなければ、結論にはたどり着けず、満足感も得られません。
反対に「経過型」の人が「結果型」の人の話を聞くと、「話の中身がない」「内容が薄い」と感じてしまいます。しかし「結果型」の人は事の成り行きには価値がないと思っていて、話すのを面倒くさがります。

 

相手に構わず、自分のスタイルを通してしまうと、話がかみ合わないということがしばしば起きます。
もしお子さんが「経過型」の場合、結論を急かすのではなく、話をきちんと最後まで聞いてあげてください。言葉を遮らないようにしましょう。どうしても耐えられない場合は、話のキリのよいところで、「お話で大事なポイントはどんなことだと思う?」と聞いてみます。そのあとに、続きを聞いてあげましょう。
お子さんが「結果型」で結論しか言わず、状況がよくわからないような場合は、結果から逆戻りするように話を聞いてください。そして、結論だけでなく、きっかけや途中経過も大事だということに気づかせることができれば、コミュニケーション能力のアップにつながるでしょう。

 

前回のお話の中には、目標を目指すことに重点を置く「目的志向型」のお母さんと、何か問題が起きたらどう対応しようかと考える「問題回避型」のお子さんがいました。「目的志向型」の人は、「獲得する」や「達成する」という言葉が好きです。「問題回避型」の人は、「~にならないように」や「解決する」という言葉を好みます。相手が好む言葉を使うことで、「この人とは話が合う」と感じて、安心感を覚えます。
このお母さんは、「一つひとつのテストを確実にクリアしていけば、きっと○○になるよね!」などと話すと効果的です。

 

相手の考え方・感じ方のスタイルを知って、それに合わせることが基本ですが、その前に自分のスタイルに気づく必要があります。自分の普段の何気ない言動を思い浮かべて、「私はこんなスタイルかな」と考えてみましょう。また、仕事と家庭、プライベートではスタイルが変わることがあります。状況ごとに押さえておくことが必要です。

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