不完全なコミュニケーション ー 省略

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不完全なコミュニケーション ー 省略

「困ったー」
もしお子さんがこう言ったら、どのように声をかけますか?

 

前回は人の言葉には省略、歪曲、一般化がつきものだというお話でした。それは、ある経験を記憶に残すときにすでに省略、歪曲、一般化がされてしまうからです。身の回りのすべての事象を感知して、それを記憶に残すことは人間には不可能です。そこにあったすべての人・もの、形・色、声・音、温度、明るさ、匂いなど、ぜんぶ覚えておくことはできません。もしかすると、生きていくためにはそれほどの情報は必要ないのかもしれません。自分にとって必要だと思ったことだけを記憶に残すのでしょう。その際さらに、自分の得意の五感(視覚、聴覚、触覚など)を使ってフィルターにかけます。視覚が得意な人は、聴覚や触覚などの情報が少なくなるのです。つまり、経験した身の回りのすべての事象のうちのごく一部だけが、記憶されているということになります。
会話の言葉は記憶をもとに生成されます。省略された記憶をもとにすると、言葉もまた省略されてしまうわけです。

 

記憶はまた、思い込みと結びつきやすく、思い込みによって言葉が省略されることもあります。たとえば、相手は知っているはずだ(読心術)と思い込み、必要な情報を外してしまいます。冒頭のお子さんも、今自分の頭にあることをお母さんも分かっていると思っているかもしれません。実は幼児期にはよく見られる行動で、思春期になってもその片鱗を見せる子どもはいます。

 

「困ったー」と言う相手に対して、「どうしたの?何があったの?」と聞くのもいいですが、「何について困ってるの?」と質問するほうがより具体的です。「テスト」と言ったら、「何の教科?」というように、さらに質問を重ねて困っている対象を絞り込んでいきます。そうすると、意外と小さなことであったり、簡単に解決できることであったりするものです。頭の中でいろいろな省略が起こり、困っている対象がぼやけてしまっていると考えられます。

「みんなと比べて、うまくできないんだ」と言ってきたとします。まず、「みんなとは誰のこと?」と聞いてみます。この”みんな”が怪しいのは前回お話した通りです。「どんなことを?」「どんなふうにうまくできないの?」とも聞いてみましょう。うまくできない対象と程度を具体化します。聞いていくうちに、”みんな”というのは2~3人のことで、できないというのもぜんぜんダメというわけではないことが、自分自身でも気づくようになります。

 

大事なのはここです。

 

質問によって、自分自身で気づきを得るようにさせることです。状況もはっきりしないまま、おおざっぱなアドバイスをしても、「ボクのことを分かっていない」と逆に不信感を招くことだってあります。アドバイスは一番最後です。がんばって、できるだけ自分で気づくようにさせてあげてください。自分自身で気づいたことは滅多に忘れません。

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