変形した記憶

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変形した記憶

人は言葉を巧みに使ってコミュニケーションを図ることができます。コミュニケーションで伝えられる情報のほとんどは、自分の何らかの経験をもとにしています。過去に経験したことを記憶し、それを呼び起こしながら相手に伝えているのです。
ところが、この記憶というものが完全ではありません。というのも、記憶をする際、そのときの状況をくまなく把握しているわけでなく、自分が得意としている五感を優先して使い、その感覚を中心に記憶していると言われます。たとえば、視覚を優先する人は、自分が見た光景は写真に写したように記憶しているかもしれませんが、声や音など聴覚に関する情報は視覚情報に比べるとずっと少ないのです。それはつまり、全情報の一部を省略しているということです。

 

またちょっと厄介なことに、人は以前の経験から思い込みをしてしまうものですので、得意の視覚情報であっても、真実とは異なる印象を抱き、それを記憶してしまうことが往々にして起こります。たとえば、「私の作ったご飯をあまり食べなかったのは、私のことを好きではないからだ」と思ったとします。真実は、胃の調子が悪かったけれど、作ってくれた親切を無にしたくなかったので、気づかれないように、食べられるだけ食べたのかもしれません。ここでは事実を歪曲しているのです。

 

さらに、記憶には一般化という変形が起きます。たとえば、子どもが学校から帰ってきて「ママ、みんな自分のタブレットを持ってるんだよ」と言うと、「えっ、そうなの?持っていないのはうちの子だけ?」などと考えてしまいがちです。しかし、よく調べてみると、タブレットを持っている子は半分にも満たないということが分かりました。子どもには”みんな”に見えたのでしょう。私も幼稚園のときに、この手を使って遠足のリュックを手に入れました。

 

子どもをはじめ、たとえ親しい人であっても、相手の言葉には省略、歪曲、一般化された情報が含まれている可能性があります。そのことが、相手やあなたにとって不都合なことを招いているのでしたら、放っておけません。本当のことを明らかにすることで、悩みや苦しみから解放されることも多いです。「あれ?」と何かに気づいたときは、「それは…」と問いかけてみましょう。相手は質問の答えを考える中で、自身で気づきを得られるはずです。

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