得意な五感は1つじゃない
人は誰でも、得意としている五感を持っているというお話をしてきました。視覚が得な人、聴覚が得意な人、体感覚(嗅覚、味覚、触覚)が得意な人。何かを体験しているとき、得意な感覚を優先的に使っているのです。発する言葉や動作も、その感覚に合ったものが多くなります。また、その得意な五感を使って得たものは記憶に強く残ります。
人とコミュニケーションを取るとき、相手の得意とする五感に気づき、それに言葉や動作をうまく合わせることができれば、相手は心地よく感じ、会話も弾みます。
得意とする感覚は、職業による傾向が見られます。装飾やデザイン、美容に関わる仕事の方は視覚を優先的に使う人が多いようです。言葉を扱う仕事、例えば教師やセミナー講師、新聞や雑誌の記者、ライターなどの人は聴覚を優先する人が多く、スポーツ選手や料理人には体感覚が得意という人が多いと言われます。これは決めつけではなく、そのような傾向が見られるということです。
ちょっと面倒なことは、得意とする五感は1つではないかもしれないということです。
自分を取り巻く状況によって、優先する感覚が異なる場合があります。仕事では聴覚を優先しているように見えても、プライベートでは体感覚を使うことが多いという具合です。
ですので、「この人は視覚優位だ」などと決めつけてしまうと、思わぬミスコミュニケーションを起こしてしまいます。仕事上ではどの感覚を使っていて、家庭ではどの感覚を使い、あるいは友人関係ではどの感覚を使っているというように、状況ごとに確認したほうがいいですね。
相手の得意な五感を知ろうとする前に、自分自身が優先的に使っている感覚を確認しておきたいです。相手との違いが分かったほうが、相手に合わせることもできるようになります。
また、自分が得意でない、あまり使っていない五感についても気づいてください。もし、そのような感覚があれば、あえてその感覚を意識して使ってみましょう。そうすることで、これまでに気づかなかった考え、考え方に触れることができるかもしれません。そして、それはあなたの思考や行動を変化させ、柔軟なコミュニケーションの助けになります。つまり、あなた自身の可能性を広げることになるのです。
それ以前に、苦手だなと思っていた人と、もう少しうまくコミュニケーションができるようになるはずです。