わたしはダメ?
「あいつはダメだ」「こいつは最低」「うちの子はどうしようもない」などという言葉をよく聞きます。この言葉だけだと、何がいけないのか分かりません。そうすると、これを聞いた人は「その人のすべてがいけないんだな」と思ってしまいます。言った側はそこまで言及しているつもりはなく、感情が入ってしまって、つい切り捨てたような言い方になっているのだと思います。
「うちの子は本当にどうしようもなくて、家でぜんぜん勉強しないんです」
お母さんが問題にしているのは、ゲームばかりに夢中になって、勉強をほとんどしていないという行動のようです。あら探しをすると他にも出てくるかもしれませんが、”今回の”「どうしようもない」のは勉強をしないことです。
このように、人の人格すべてを否定し、価値のないもののように表現してしまうことがありますが、よく聞いてみると、その人のある特定の行動や考え方・感じ方について評価しています。
人はもともと価値のある存在です。誰にでもプラスの、前向きにとらえることができる価値があります。その人が存在する限り、その価値はその人とあり続けます。
勉強をしないことは複数の面で否定的な結果をもたらしますが、その子の価値がないというわけではありません。
「お前はダメだ」「私はダメだ」というような表現では、相手あるいは自分自身の価値やいろいろな可能性を否定し、前に進む気力さえも削いでしまいます。何をやってもムダと思ってしまいます。
その人の行動や考え方・感じ方に目を向け、それらによってもたらされるもの、そのものにどのような価値があるかを考えるようにしましょう。
勉強をしないことで成績が下がり、希望する学校へ入れないかもしれません。
飲みすぎてしまい、翌日の仕事がうまく進まないかもしれません。
失敗ばかりして、周りに迷惑をかけているかもしれません。
自分が望まない結果を呼び寄せる行動や考え方・感じ方にこそ、価値がないのです。まず、そこに着目することで、より建設的に意識を変えていけることができます。