”勉強する”を無意識にすり込む
この時期、学習への意欲を保つのは難しいと思います。中3は受験が終わって、結果は気になるけれど、しばらくのんびりしたいと思うかもしれません。中1と中2は定期テストもないし、残りの授業を”消化”する気分になっているように見えます。
しかし、4月から中学生は新学習指導要領に沿った授業が始まります。教科によっては難易度も上がり、量も増えます。せめて、今の学年までの学力をしっかりつけておかないと、これまで以上に苦労することになるかもしれません。一部の中学校では、新学習指導要領で新しく入ってくる内容を先取り学習しています。特に中3は、来年の受験に向かうスタートラインで、すでに差がついているということです。うかうかしていられません。
そんな話を聞いたお母さんは、わが子に発破をかけずにはいられません。
「のんびりしてないで、4月から勉強が難しくなるのよ。今までの復習をしなさい!」
大人は自分の経験から、ちゃんと勉強しないとあとで大変なことになるのを知っています。ところが、子どもはそんな経験はあまりないので、ピンと来ません。何とかしてやる気にさせたいというのは、多くの保護者の共通の悩みです。子どもに自分の思いを伝え、気持ちを動かすことができれば…。
思いを伝えるのはコミュニケーションです。良いコミュニケーションが取れると、相手は自然とこちらが望む反応を示してくれます。そのために、言葉の使い方も一役買います。
「勉強しなさい」とダイレクトに伝えると反発をしたくなるものです。気がつかないうちにスッと入り込んでいたという、サブマリン的な手法が効果的です。
・「勉強しながら、(おやつを)食べていいわよ」
これを聞いたとき、食べるかどうかを考えます。しかし、それは勉強をする前提のうえにあります。
・「今日は先に何から勉強する?」
何から始めるかを考えますが、1教科では終わらず、次もあるという前提が組み込まれています。
・「あのドラマ(TV)の前に勉強する?それとも後に勉強する?」
後か先か、どっちしようか考えます。どっちにしても勉強はするのです。
・「2時間は必要だって知ってた?」
そんなことを聞いたことがあるかどうかを考えますが、どちらであっても2時間というイメージがインプットされます。
・「思ったより簡単に続けられるものよ」
簡単かどうかに意識が行きます。簡単だろうと、そうではなくても勉強は続くのです。
・「明日も続けて勉強できたらいいね」
続くかどうかを考えますが、少なくとも今日は勉強をすることが前提になっています。
・「昨日と同じように勉強できそうね」
昨日と同じかどうかを考えます。しかし、勉強すること自体は変わりません。
このように、勉強することが前提であるかのように言葉を選ぶと、意識の”隙間”ができ、勉強するというイメージが無意識にすり込まれます。そうすると自然と「勉強しようかな」という意識が出てくるのです。