いくら勉強しても、オレはできない
前回、私たちは思い込みをたくさん持っていて、事実ではないことを口走ってしまうというお話をしましたが、「決めつけ」もまたたくさん持っています。決めつけも思い込みも、自分の勝手な判断であることは間違いありません。
「いっくら勉強したって、どうせオレは勉強できないよ」
笑いごとではありません。真剣にそう思っている子はいるのです。何回か一生懸命勉強したけれども、あまり振るわなかったのでそう思うようになったそうです。「私は数学の証明問題が苦手です」も同じ類です。2回か3回、練習問題をやってみたけれど、毎回不正解だったということらしいです。
ちょっとやってみて、うまくいかなかったら苦手になるのなら、ほとんどのことは苦手ではないでしょうか?「自転車は1回で乗れましたか?」「逆上がりは一発でできましたか?」「九九は3回以上間違えたことはないですか?」100回くらいやってもできなければ、苦手と思うかもしれません。しかし、たかだか2~3回やったくらいで苦手と決めつけるのは早計すぎるのではありませんか。
人はうまくいかないことが続き、そのインパクトが大きいときは、あたかも絶対にできない、いつも同じ結果になると思い込み、そう決めつけてしまいがちです。もう少し続けていたらできていたかもしれないのに。自分の能力を過小評価することになります。それでは、豊かな人生をみすみす逃してしまうことになります。
そういうときも、周りのサポートがあればそれに気づくことができます。ここでも質問が役立ちます。
「たくさん勉強したのにできないって、どのようにそう分かるの?」
どういう理屈(論理)でそう結論付けたかを質問してみます。そのように考えたプロセスを聞いてみるのです。
「たしかに、もっと勉強すればできるはずですよね。オレだって、そこまでバカじゃないし」
自分の決めつけのしかたがおかしかったことに気づきました。そうなると、気を取り直し、やる気が出て、また勉強するようになります。
他にも、「学校で、みんな○○を持っているんだから」というのは真実でない可能性があります。たいてい、3~4人です。あるいは、「○○ちゃんの誘いは断れない」というものもあります。「もし断ったらどうなるの?」落ち着いて考えてみると、断ったところで何も起こらないことに気づくでしょう。
質問をされることで、これまで決めつけていたことの例外に気づくことができます。そこでようやく、それは自分の思い込みだったと分かるのです。