身体感覚が得意な人
視覚、聴覚の得意な人の特徴をご紹介してきました。最後に触覚、味覚、嗅覚を合わせて身体感覚とし、身体や心の感覚を優先的に使っている人の特徴を見ていきたいと思います。
これまでもお話してきましたように、身体感覚が得意、優先しているというのは、わずかな味の違いを見分けられたり、犬のように鼻が利くというような、その感覚が鋭いとか、人より敏感だということではありません。目で見たイメージや聞いた音よりも、身体で感じる感覚を大事にする人のことです。たとえば、海辺を訪れたときのことを思い出すとき、風景や波の音よりも、潮風があたる肌感覚や砂浜を歩いたときの触覚から再現するような人です。
身体感覚を得意とする人のコミュニケーションの特徴は、なにごとも心で感じながら話したり、考えたりするので、テンポはゆっくりとしています。自分の身体のあちこちをよく触る癖があり、親しい間柄だと相手に触れることも多くなります。人によってはそれが逆に出てしまい、触られるのを極端に嫌がる場合もあります。
学習においては、触れることで記憶に残りやすいので、地図より地球儀のほうが好きで、理科の実験も得意かもしれません。部屋の温度によって、勉強のはかどり方に差が出ることもあります。
話し方は、いちいち自分自身に確かめるように、言葉をかみしめながらゆっくりと話します。感覚、感じる、温かい・冷たい、重い・軽い、安心する・心配になる、などの感覚的な言葉を多く使います。比較的抽象的な表現が多いので、何を言っているの分からないと言われることもあります。
目線は右下のほうへ動くことが多いです。手は胸より下ほうで動かしますが、心臓のところによく手をやることもあります。
服装や持ち物はデザイン性よりも、着心地や肌触り、使い心地を重視します。
ここまで、大きく分けて視覚、聴覚、身体感覚を得意とする人の特徴をご紹介してきました。相手の特徴を知ることができれば、相手に合わせることもできます。そうすると、同じ感覚を共有する者同士という一体感を無意識で感じ、より親密なコミュニケーションを取ることが可能になるわけです。
相手が自分に合わせてくれるのを待つより、自分から相手に合わせたほうが、早くコミュニケーションを築くことができます。自分のことは、そのあとにゆっくり理解してもらえばいいのです。