自分自身にもポジティブな対応を
コミュニケーションは相手と自分の存在や行動の認知から始まります。つまり相手と自分を認めることが、コミュニケーションの出発点なのです。その言動を交流分析ではストロークと呼び、「ストロークを与える・受ける」などといいます。
日本人はポジティブなストロークを与えるのが苦手な人が多いようです。良いことをするのは当たり前、悪いことをしたときには注意・叱責すべきと考えます。したがって、毎日学校に遅刻せずに通っていたのに、たまたま遅刻したら先生からきつく怒られたということもあったりします。
ネガティブなストロークには良い方向へ指導するという意味がありますが、ポジティブなストロークは、「それをしてもいいんだよ」というフィードバックの効果がありますので、ぜひ親子との間でも面倒くさがらずに与えるようにしてください。
また、日本人には素直にストロークを受け取れないところもあります。日本人の美徳の一つ、”謙遜”が邪魔をします。自分自身のことを自慢しないように。人からほめられた時も「いやぁ、大したことないです」と応えるように。このように子どものころから”訓練”されてきました。これは自我状態の”順応した子ども”の行動です。
尊大すぎると問題ですが、相手から良くいわれたときは素直に「ありがとう」とストロークを受け取りましょう。
ストロークはコミュニケーションの相手に対してだけ与えるとは限りません。自分自身に与えてもよいのです。
自分自身へのポジティブなストロークを見つけましょう。
大きめの紙を用意して、自分の良いところを書き出していきます。もし可能であれば、その紙を目につくところに貼っておきます。あとから良いところに気づいたときは、そこに付け足します。
また、自分にポジティブなストロークを与える方法を考えます。好きな曲を聞きながらお酒を飲む。大好きなおいしいものを食べる。温泉にゆっくりと浸かる、など。まずは5つリストアップしましょう。
何かがうまくいったとき、自分に”ご褒美”をあげる人がいますが、それは条件付きのストロークですので注意が必要です。うまくいかない限りはストロークはもらえないことになります。
人からももらったストロークは、自分自身へのストロークより効果的です。それらは記憶に留まり、取り出すことができます。あたかも”ストローク銀行”です。気に入ったストロークは何度でも取り出せますが、だんだんと効果が薄れてきます。新しいストロークを受け取る必要があります。