しつけの五大メッセージを知る その1

今回から、拮抗禁止令のうち、ドライバーと呼ばれる典型的な5つの拮抗禁止令をご紹介します。
拮抗禁止令とは親が子どもにしつけの一環などで与えるメッセージのことです。その名称とは異なり、肯定文で表現されます。親の「親」の自我状態から発せられ、子どもの「親」の自我状態に保存されます。
ドライバーは「駆り立てるもの」と訳されることが多いようです。ドライバーの内容はシンプルで、それが示している言葉のとおりです。
◆「完全であれ」(Be perfect)
このドライバーを持っている人は、幼少期より親または親相当の人から、何ごともきちんとやり遂げるように繰り返しいわれてきました。それにより失敗を恐れ、リスクを冒しません。また、自分だけではなく、他の人にも厳しさを求めるので、人の間違いや欠点をよく指摘します。常に完全さを追求するので、ストレスが溜まります。
この人の言葉づかいの特徴としては、たとえば「私が大事にしているもの、つまり価値があると考えるものは…」や「子どもの家庭学習というのは、いわば毎日の食事のようなもので…」というように、”注釈”をつけるクセがあります。いい換えをすることで意味をより”完全に”伝えようとします。また、数字・序数をよく使います。「今日話すことは2つあります。1つめは…。2つめは…」のように。
声は高くもなく、低くもなく、ほどよいトーンとして聞こえます。
姿勢はまっすぐで、きちんとしています。数字や序数を口にするときは、指を使って示すことが多いです。目線はやや上のほうに向きますが、横に向けることもあります。あたかも、天井や壁に”完全な解答”が書いてあるのを見ているようにです。
◆「強くあれ」(Be strong)
幼少期にいつも、親から「泣くな」、「我慢しなさい」、「しっかりしなさい」などといわれ続けていた人が持っている可能性が高いドライバーです。その結果、自分の感情を表に出さなくなります。自分の強さを誇示し、他人に弱みを見せようとしません。だから、他人を頼ったり、助けを求めようとしません。自分の感情や弱さが出そうになると、その原因を他人のせいにする言葉を使います。
したがって、自分との距離をとるように、受動表現を使うことが多いのが特徴です。「彼がイライラさせた」、「ボクが怒ったのは彼女のせいだ」また、自分以外を主語にすることもあります。「人はこういう状況に弱い」(自分が弱い)、「あれは悲しいこことだ」(自分が悲しい)などです。
声の調子は単調で、低めです。
防御の姿勢である、腕を組んだり、足を組んだりすることが多いです。顔の表情は変化に乏しく、無表情です。
次回は残り3つ。「一生懸命努力せよ」、「(人を)喜ばせろ」、「急げ」についてご紹介します。