たとえ怒られても無視されるよりマシ
前回までにストロークの分類についてお話してきました。
念のために確認しておきたいことは、ストロークとは単なる言葉や接触ではなく、相手を認知すること、すなわち相手の存在や行動の価値を認めることを意味します。いわゆる”承認欲求”よりもずっと根源的なもので、「あなたはそこにいますね」「あなたはそうするのですね」というシンプルな認識を示すことなのです。
誰からも認知されない状態は、想像するも恐ろしいことです。家族、友人、同僚すべての人があなたを無視したとしたら、あなたはその状況に耐えられるでしょうか?
人は生きていくうえで、ストロークを必要としています。人間の特性と言えるでしょう。
赤ちゃんは1人では生きていけないので、本能的にストロークを求めます。どうしたらストロークをもらえるかをいろいろ試し、いくらかのストロークが得られたら、その行動を繰り返すようになります。つまり、ストロークが行動を強化します。
これは大人でも同様です。たとえば、ポジティブなストロークを得ようとしてもなかなかもらえず、ネガティブなストロークなら得られとします。誰からも無視されるよりは、文句を言われたり、怒られたりするようなネガティブなストロークであっても、もらえるほうがマシです。ある行動をしてストロークが得られたら、その行動を繰り返すようになります。
ときどき、なぜそんな自虐的、自罰的な行動を取り続けるのだろうという人がいますが、それはこのことに起因しているのです。
もし子どもが好ましくない言動を続けているとすれば、そのような言動することで、周りの人からストロークをもらえるということを”学んだ”可能性があります。その言動を変えさせたいと願うのであれば、その子に対する接し方を振り返ってみることと、もっと楽しいポジティブなストロークをもらうことができる方法を教えてあげる必要があります。