現実をねじ曲げてしまう言葉

コミュニケーションに必要な言葉。自分の持っている情報を相手に伝えるもっとも有効で、一般的な手段です。しかし、言葉はすべてを伝えません。そもそも、あなたが持っている情報自体、現実を言葉で表したものを記憶しているので、”現実そのもの”ではなくなっています。言葉は現実を抽象化させるだけではなく、言葉を用いる人が持っている”フィルター”によって現実の情報を制限するのです。
3種のフィルターのうち、今回は最後の「歪曲」について見ていきます。
「この問題のせいで腹が立ってくる」(最近の実話)
感情などの内部の状態が外的要因によるものだとする表現。その論理性が明確になっていません。「あいつのせいでイライラする」も同様です。因果関係と呼ばれます。「どういうふうに腹が立ってくるの?」と腹が立つ原因あるいはプロセスを明確にします。すると「この問題」ではなく、自分自身に原因があることに気づくかもしれません。
「あの人、私のことが嫌いなのよ」
人の心の中がわかっているような表現で、読心術と呼びます。「私の気持ちがわからないの?」も同じです。「どのようにしてそれがわかるの?」と聞きます。たどっていくと、そう思わせる出来事は意外と少なかったり、相手にきちんと気持ちを伝えていないことに気づいたりします。
「いねむりをしてるのはやる気のない証拠だ」
Aであるということは、すなわちBであるということだ、とする論法です。つまりA=Bの関係にあります。複合等価と呼ばれています。いねむりという行動とやる気がないという心理状態は別次元の問題です。「どうしてやる気がないということを意味するの?」と、意味が直結していないことに気づかせます。ただし、正当化できる例もあります。たとえば、「そんなことを質問するということは、教科書を読んでないね?」です。
この他に、前提と呼ばれるものがあります。たとえば「少しは努力をしたら?」は、いつも努力していないということが前提となっています。これについてはまた次回に詳しく見ていきます。

