二人の位置がコミュニケーションに変化を

前回は非言語コミュニケーション、すなわち言葉以外による情報の伝達についてお話しました。コミュニケーションを構成する要素で見ると、言葉で伝える聴覚情報は全体の55%にすぎず、残りは表情や動作などの視覚情報や他の五感による情報だといわれています。表情や態度がコミュニケーションに影響を与えることは、少なからず体験されていることでしょう。
表情や態度・姿勢が、言葉による情報を強調したり、反対に隠ぺいしたり、あるいは言外の感情を伝えたりしますが、これ以外にもコミュニケーションの基盤に影響を及ぼす要素があります。それは、お互いの位置です。面と向き合っているのか、横に並んで立っているのか、あるいは面接のマニュアルにあるような90度の位置に座るのかによって、二人の関係に何かしらの効果を与えます。
面と向かって話をする場合は、親子、上司と部下、先生と生徒などがなにかを指示したり命令するときや、ビジネスで重要な交渉をするとき、そして個人的な深い感情を伝えたいときなどがあります。シリアスな場面が多いですね。
西洋の文化圏では一般的に、立った状態で面と向かって話すときは、腕と同じ長さの距離を取ることが多いそうです。日本ではもう少し距離があるような気がします。この距離を1m、2mと長くすると、どのような感覚の変化があるでしょうか。声の大きさやトーンの変化、聞き手が受ける印象など、微妙な違いがあるはずです。
横に並んで話をするのは、悩みを相談したり、励ましたり、アドバイスを与えたりするような場面で見られます。面と向かって話すときと同じように、二人の距離を離していったときに、声や身振りなどにどんな変化があるでしょうか。また、90度に位置すると何が変わるでしょうか。
さらに、相手の腕などに軽く触れたときに、内的な変化が起こります。ある調査では、適切に触れられたときに正直さが増したという結果が出たそうです。
ただし、触れるというのはデリケートな行為ですので、十分な注意を払わなければなりません。
上述のような”実験”でどのような変化があるかは、個人差があります。また、「こんな変化がありますよ」とあらかじめ示すと、先入観にとらわれてしまう可能性があります。”実験”に協力してくれる人を見つけて、実際に自身で試してみてください。

