相手の特質を正しく知る。たとえ家族でも。

前回までに心の構造や動き、コミュニケーションの形態について、交流分析の基礎的な要素をベースにお話ししてきました。そして一旦、交流分析に関するお話は終わるといいましたが、もう一つだけ大事な概念をお話ししておかなければなりません。それは「人格適応論」と呼ばれる、ちょっと難しそうなタイトルのものです。
人格適応(Personal Adaptation)とは英語名が示すように、人の性格や人柄、特質は分類され、自身の行動やコミュニケーションとどう適合するかという考えです。これを知っていると、「その人がどんなタイプの人間か」がわかるようになり、より良いコミュニケーションを築き、どのようにしたらうまくやっていけるかがわかるようになります。
というのは、人生脚本を実現しようとするとき、ゲームやラケット行動などの特徴的な感情や行動パターンが見られますが、それらはコミュニケーション構築に有用な情報となるからです。
家族、同僚・同級生、上司・先生、親戚や近所の人たち。人はいろんな人とコミュニケーションを取りながら生活しています。一緒に暮らしていると、ましてや血がつながった子どもや両親については、相手のすべてを理解している”つもり”でいるのではないでしょうか。相手の心の本当の部分や脳神経の構造などわかってはいないのにもかかわらず、表面的な言動を観察し、あなたの判断で相手の人格を決めつけてしまっているとはいえないでしょうか。それは必ずしも的を得たものではないかもしれません。
多くの心理学や心理療法、精神分析と同様に、この人格適応論も同様に長い時間をかけて臨床的に研究されてきました。何ごとにも例外は存在するものですが、体系化された概念は多くのケースに適応されます。例外は例外として捉えるべきです。
人格適応は以下の6つに分類されます。
・脅迫観念型(責任感ある仕事中毒者)
・パラノイド型(才気ある懐疑者)
・スキゾイド型(創造的夢想家)
・受動攻撃型(おどけた反抗者)
・演技型(熱狂的過剰反応者)
・反社会型(魅力的操作者)
”普通”の人であっても、これら6つのすべてを使っています。しかし多くの人たちは優勢なものを1つ、あるいは2つ持っています。それぞれに、ポジティブな要素とネガティブな要素の両方が含まれています。
これら6つの適応について、次回以降で見ていきます。

