禁止令を受け取る、修正する、拒否する

ここまで、12ある禁止令とその例をご紹介してきました。あなた自身はどんな禁止令を持っているか気づくことができたでしょうか?
禁止令はあなたが幼少期に、父親あるいは母親から、言語的または非言語的メッセージとして受け取っていたものです。それらは、明確な記憶や意識の上にはないかもしれません。しかし、何らかの特別な機会がない限り、ずっと持ち続けているのです。
禁止令はどこから来たのかが気になります。
たとえば、母親から受け取った禁止令「存在するな」は、母親自身も自分の親から受け取っていた可能性があります。そうして、呪いのように何代にもわたって引き継がれていきます。誰かに禁止令を渡すことで、自分はその”呪い”から解放されると、「子ども」の自我状態で信じてるからです。
子どもによっては、禁止令をそのまま受け入れる場合もあれば、拒否する場合や”修正”を加えて持ち続ける場合もあります。
そのまま受け入れてしまうと、いつか自殺をはかったり、重い病気になるように身体に負担をかけたり、あるいは重大な事故にあうように”お膳立て”するかもしれません。
「それは私の問題ではなく、お母さんの問題でしょ」と受け取りを拒否する子どももいます。このような場合は、祖父母など、支えになってくれる人たちが存在することがあります。
そのような子どもたちは大人になって、有能な精神科医か聖職者になるかもしれません。
禁止令をかわすために、他の禁止令や拮抗禁止令(2025年2月28日付ブログ参照)を利用することもあります。たとえば、禁止令「存在するな」と拮抗禁止令「完全であれ」を受け取っていた場合、「なんでも完全にやり遂げている間は、生きていていいんだ」と決断するかもしれません。この子は、常に失敗を恐れ、容易なことしかやらず、チャレンジを敬遠するようになるでしょう。
また、父親から「存在するな」の禁止令を受け取っていて、母親からは「成長するな」の禁止令を受け取っていたとき、より強烈な「存在するな」を和らげるために、次のように決断するかもしれません。
「お母さんのために子どもでい続けるかぎり、お父さんのために死ななくていいんだ」
おそらく大人になっても、子どもっぽさが抜けず、感情的になることが多く、冷静な判断や決定ができません。
このように、禁止令は非常にやっかいなものです。くり返し述べているように、もっとも大きな問題は、人はそれを持っていることに気づいておらず、いつもなにかに苦しんでいるということなのです。