ゲームはなぜくり返す?

ここまでお話してきたゲームは、やり取りの最後にいやな気持で終わり、決して愉快なものではありません。なのに人々はゲームをします。しかも何度も。どうしてそんなことになるのでしょうか?
私たちがほんの小さな子どものころに決断し、継続して強化してきた人生脚本を進めるため、というのが多くの研究者の一致する点です。まだ世界のことを何も知らない小さな子どもが、どうにかして生き抜くために行った決断。そのとき決断した行動をする限りは、自分のほしいものを得られるとわかったのです。ゲームはそのための計略であって、心理的な満足を得ることもできました。しかし、それはいやな感情も残すことになります。
ネガティブな感情(ラケット感情)は、お店のポイントカードのように、スタンプとして蓄積されていきます。いやな思いをしたときに、グッとがまんをすることがありますよね?そのときスタンプが1つ押されます。
スタンプは1つまた1つとたまっていき、ある基準に達すると”景品”と交換します。この”景品”こそが、子どものころに決めた人生脚本のネガティブな報酬の一部となります。
人生脚本の報酬というは、おおざっぱにいえば、人生の最後の結末のことです。あなたは、自分の人生の最後はどのような結末になると思い描きますか?幸せなものもあれば、平凡なものもあり、悲劇的なものもあるでしょう。やはり問題なのは悲劇的な結末です。やけ酒を飲んで大騒ぎをする。薬物に依存する。自分あるいは他人を傷つける。報酬の深刻度が高ければ、より悲劇的な結末となります。
人は報酬の深刻度にあったゲームを選択します。
人生脚本をとどこおりなく進めるためには、そこで決めた信条が正しいということを証明し続けることが必要です。ゲームをしかけて、いつもと同じ感情を感じたとき、「ほら、やっぱりそうだ」と確信します。この確信を得るためにゲームをくり返すのです。