自分の心の状態を知る
これまで、自我状態と呼ばれる「親」、「成人」、「子ども」の3つの心の状態があるというお話をしてきました。「親」と「子ども」にはさらにそれぞれ2つの状態があり、「親」は「支配的親」と「養育的親」に分けられ、「子ども」は「自由な子ども」と「順応した子ども」に分かれますので、全部で5つの状態があります。
ここで注意しておきたいのは、「私は子どもたちの母親だから、いつも『親』の自我状態にいる」とか、「この子は私の子なので、いつも『子ども』の自我状態にいるはず」のではないということです。自我状態は、現在、子を持つ父親や母親であるとか、親子関係において子どもであることと無関係です。
前回と前々回でお話したとおり、「親」の自我状態は自分の親の思考、行動、感情を引き継いだものであり、「子ども」の自我状態はあなたが子どもであったころの思考、行動、感情を保存したものです。
自我状態は1日の生活や活動の中で刻一刻と変化します。さっきまで「子ども」であったのに、今は「成人」の自我状態に移っていたり、またあるきっかけで「親」の自我状態に移ったりします。
しかし、1日の中でどの自我状態にいることが多いかは、個人によって異なります。「支配的親」にいる時間がもっとも多い人もいれば、「順応した子ども」にいる時間が一番長い人もいます。
あなたはどうでしょうか?自己診断してみましょう。
紙を1枚用意し、一番下のほうに水平に線を引き、その下に「CP NP A FC AC」と書き入れます。CPは「支配的親」、NPは「養育的親」、Aは「成人」、FCは「自由な子ども」、ACは「順応した子ども」を表してます。
まず、自分が一番多くの時間を費やしていると思う自我状態について考えます。たとえば、「養育的親」がもっとも多いと思うのなら、NPの文字の上の水平の線を起点に上に向かって垂直な棒を描きます。棒の長さは「養育的親」でいる時間の量です。他の自我状態はそれよりも少なく(短く)なるはずですので、適当な長さにしておくのがよろしいでしょう。
次に、もっとも少ないと思う自我状態のところに、同じように棒を描きます。2つの棒の長さは、あなたの直感で決めてください。そして残りの3本の棒を描き入れます。
いかがでしょう?
あなたのことをよく知る人に自我状態について説明したあと、その人にあなたについてこのチャートを書いてもらってみるのはおもしろいと思います。多くの場合、自分が思っているのと、他人のあなたに対する見かたは違っています。