感情的な非難・批判は脚本への直行便

交流分析の「値引き」(Discounting)とは、「問題解決に関連する情報に気づかずに無視すること」と定義されています。簡単にいえば、冷静に考えれば解決できるのに、感情的になって判断を誤るということです。
たとえば、子どもがテストで悪い点数を取って帰ってきたときのことです。できなかった問題について、教科書などを見ながら一緒に解き直しをして、「今回はどうしてできなかったんだろう?」と気づきを促す場合と、カッとして「勉強しないからでしょ?勉強したくないなら塾もやめなさい!」とか、「あんたは本当にダメね。誰に似たのかしら」とか、点数を一瞥しただけで何もいわず無視するような批判的な態度をする場合です。
上述の前者は、「成人」の自我状態(心の状態)で現状を適切に理解し、どういう対応をしたらよいかが判断できてます。後者は、自分の幼児期の決断に合うように周りの状況を自分勝手に受け止め、決断に合わないことは無視するということを無意識にやっているのです。決断に従い脚本に入っていくことで、幼児期に夢見ていた”魔法の解決策”を手に入れようとします。つまり、能動的に解決を図ろうとするのではなく、受け身(受動的)になるわけです。
値引きをするときは、しばしば誇張的になります。客観的に見ればそれほど大したことではないものを、大きくふくらませて取り上げます。つまり大げさに表現するのです。「ぜんぜんダメ」とか「まったく役に立たない」など。
また、自分が値引きをしていることには気づきづらいものです。しかし、他人がそれをしているときはすぐにわかります。自分の欠点より人の欠点のほうが見つけやすいというのと同じです。