怒られた思い出に苦しむ
つらい出来事を思い出すと、そのとき以上につらく感じたり、胸が苦しくなったりすることがあります。たとえば、いつもは学校でよい子なのに、あるとき先生にきつく怒られたとします。そのことは強く記憶に残り、何年たっても思い出すたびに悲しくなったりします。あるいは、先生が自分の言い分を理解してくれなかったことに腹立たしく感じるかもしれません。いい先生だったので、そんなふうに感じたくないと思っているのに。
どんなにつらい出来事でも、それをなかったことにしたり、変えることはできません。忘れることも難しいでしょう。でも、受け止め方を変えることができれば、つらい感じを弱めることができます。
まず、つらかった出来事を思い浮かべます。先生に怒られたときのことを思い出すとしましょう。怒っている先生が目の前にいるイメージです。怒鳴り声が大きく聞こえます。
怒っている先生のイメージを遠くにおいてみます。20~30mほど離してみるのです。すると嫌な気持ちが少し弱まります。さらに、イメージを白黒に変えます。嫌な感じがより弱まったように感じます。
イメージを一旦もとに戻して、今度は先生の声を小さくします。徐々に小さくしていくと、嫌な気持ちがまた弱まった気がします。
イメージを遠ざけるのと、声を小さくするのでは、どちらがより嫌な気持ちが弱まったでしょうか?より弱まったやり方があなたにとって効果的です。両方を同時に試しても構いません。もっと効果的になるかもしれません。
何回か繰り返しているうちにだんだんと、つらい出来事を思い出しても、つらい感じが弱まっていることに気がつくでしょう。
受動的な出来事であっても、その受け止め方を自らコントロールすることができます。そのことに気がつけば、もっと楽しいことに心を身体と時間を使うことができます。