五感を使ってネガティブ行動を解消
「早く着替えて勉強しなさい!」
前回、学校から帰ってくるとグズグズして、なかなか勉強を始めない子どもの例を用いました。おそらく本人は、勉強しなければならないと分かっているけれど、勉強しているときの辛さを思い出して葛藤しているかもしれません。勉強している辛さを思い出すとき、以前に取り組んだ難解な問題が”目に浮かび”、それに悪戦苦闘したけれど結局分からなかったという”残念に思う”気持ちがよみがえっているにちがいありません。
実際に目で見る以外にも、イメージを想像するのは視覚が作用しています。また、辛い、苦しい、あるいは楽しい、うれしいといった感情は、視覚・聴覚とは区別し、味覚や嗅覚と同様に体で感じる感覚として扱うことができます。すると、この子は視覚-体感覚のつながりで感じていたようです。
さらに、その嫌な思いと同時に、「あぁやりたくないなぁ。もう少し休んでいよう」と心の中でつぶやいていたかもしれません。これは実際には声に出ない、心の内部の対話です。イメージを想像するのと同じく、心の声も聴覚が関係しています。
嫌な感情や望んでいない行動をしているときは、より多くの五感を使っていないと言います。それに気づくことができれば、あえて別な五感を取り入れて、ネガティブからポジティブに逆転することが可能になります。
上記の例では、お母さんからのねぎらいや励ましの言葉、勉強した結果得られる良い成績表の数字のイメージ、それを見たときの感動の気持ちを疑似体験することができれば、自然と行動が変わります。
五感に影響され、コントロールされている状況から、五感をうまく利用できるようになれば、いろいろな変化が生まれます。