ドライバー・メッセージを観察する

前回まで5つのドライバーの特徴を見てきました。それぞれの特徴は、どのドライバーを持っているかを見つける”手がかり”となります。
ドライバーを見つけることは単なる性格診断ではなく、ドライバーからくる”信念”にとらわれすぎて、無理をしている場合に役に立ちます。自分の”信念”を再考することができるからです。
各自が持っているドライバーは1つとは限りません。2つのドライバーを持っている人もいます。しかし、3つ以上持っている人は少ないといいます。
自分のドライバーに気づくことは難しいかもしれません。なぜなら、自分の言動や表情を客観的にながめることがしづらいからです。
ドライバーの手がかりを見つけるには、その人の話や行動の内容を観察するだけではいけません。内容にとらわれて、本当のドライバーを見失うでしょう。
たとえば、誰かが「~しようと努力する」といったとき、すぐに「一生懸命努力せよ」のドライバーを持っていると見なすのは早計です。「私が努力することでいくつかの良い効果、つまりそれは…」などと”注釈”を付け加えながら、天井を見上げ、要点を指で数えているかもしれません。この場合、「完全であれ」のドライバーを持っている可能性が高いでしょう。あるいは、その場の状況から「成人」の自我状態で適切な発言をしようとしているのかもしれません。
また、おもしろいことをよく話すから「(人を)喜ばせろ」のドライバーを持っているとは限りません。自分の弱さをカモフラージュするために、わざと冗談をいっている可能性もあります。腕か足を組みながら、「こういう場は人を楽しませるわね。この時間は楽しかったわ」というのを聞くと、「強くあれ」のドライバーを持っているのかもしれません。
言葉の内容にまどわされず、表情やしぐさ、声のトーンや大きさなどに注目し、どのように表現しているかを観察する必要があります。そして、そのような手がかりを複数見つけることです。
最初からうまく観察できる人はほとんどいません。練習が必要です。テレビを見ながら、出演者を観察することでも練習できます。