両親からのメッセージと心の状態

親から子どもに送られる脚本メッセージのほとんどは、親が「こういう人生脚本を作りなさい」と考えて子どもに伝えているものではないはずです。しつけの一環であったり、人として必要な知識の伝達であったり、あるいは感情の発露であったりします。
実はここにも、親と子どもの自我状態(心の状態)が関係しているのです。
父親も母親も、自分の中に3つの自我状態(「親」「成人」「子ども」)を持っています。子どもにもこれらの自我状態があります。
父親または母親の「親」の自我状態から発せられたメッセージは、交流分析では”拮抗禁止令”あるいは”ドライバー・メッセージ”と呼ばれます。それらは子どもの「子ども」の自我状態に向けられたものであっても、子どもの「親」に保存されます。そのメッセージは自分の”両親そのもの”なのです。つまり、子どもにとっての”親”のイメージはまさに自分の両親となります。
このメッセージの例としては、「がんばって最後までやりなさい」「お行儀よくしなさい」「親の言うことを聞きなさい」などがあります。これらの多くはしつけによるものです。
両親の「成人」から子どもの「成人」に送られるメッセージは、”プログラム”と呼ばれます。茶碗の持ちかた、箸の使いかた、トイレのしかた、服のたたみかたなど、「ほら、こうしたらいいよ」というメッセージです。
両親の「子ども」から子どもの「子ども」に向けられるメッセージは、”禁止令”と”許可”があります。感情がベースとなっていることが多く、「かわいい○○ちゃん、一緒にあそぼ」「いま手が離せないの。ちょっと静かにして」などです。
プログラムは子どもが大人になっても維持されますが、ドライバーや禁止令・許可も子ども中に保存され続け、その子の人生に大きな影響を与えることになります。