場合によっては心地の悪い言葉も必要
ストロークの3つめの分類はポジティブなストロークとネガティブなストロークです。
ポジティブなストロークは、相手に心地よさを与える意図があります。一方、ネガティブなストロークは、相手に痛みを与えるものです。
前に紹介した親子の会話で見ていきましょう。
「ママ、ただいま」
「おかえり。寒かったでしょ?」
「うん。おなか減った」
「おやつあるわよ」
お母さんはポジティブなストロークを与えています。以下ではネガティブなストロークを与えています。
「ママ、ただいま」
「どうしてこんなに遅いの?また道草してたでしょ」
「う、うん…。おなか減った」
「罰として、おやつはなしよ」
前回までにご紹介した、言語的ストロークと非言語的ストローク、無条件のストロークと条件付きのストロークにはそれぞれポジティブなものとネガティブなものがあります。
言葉で表されるポジティブな言語的ストロークには「大好きよ」「がんばったね」「いい子ね」などがあり、ネガティブな言語的ストロークには「大嫌い」「バカ」「こんな点数じゃダメじゃない」などがあります。
非言語的ストロークのポジティブなものには、抱きしめる、なでる、ほほ笑む、手を握るなどがあり、ネガティブなものには、たたく、しかめっ面をする、無視するなどがあります。
上記のポジティブな言語的ストロークの「大好きよ」はポジティブな無条件のストロークでもあり、「がんばったね」と「いい子ね」はポジティブな条件付きのストロークでもあります。
また、ネガティブな言語的ストロークの「大嫌い」と「バカ」はネガティブな無条件のストロークでもあり、「こんな点数じゃダメじゃない」はネガティブな条件付きのストロークでもあるのです。
こう見ていくと、人はポジティブなストロークを常に求め、ネガティブなストロークは常に避けたいと思われるかもしれませんが、実際は違います。何も接触(刺激)がない恐ろしい状態になるくらいなら、たとえネガティブなストロークであっても、それを求めようとします。
たとえば、小さな子どもがかまってもらいたいために、わざといたずらをして親の注意を引こうすることがあります。子どもは本能的にそのことを知っているのです。