たとえ話は反発を押さえる
「勉強しなさい」という直接的な言い方は抵抗や反発を招きやすいので、抽象的・間接的な表現を使うことで、聞き手にポジティブなイメージを抱かせ、やる気を起こさせる方法をご紹介してきました。抽象度が高ければ高いほど、聞き手はポジティブな気持ちを持ちやすくなります。
最後にご紹介するのは、暗喩・隠喩(英語ではメタファー metaphor)を使う表現方法です。
「勉強はあなたの味方よ」
物や現象などを擬人化する手法で、よく広告でも目にすることはあると思います。勉強という行為が”味方”になるわけはありませんが、どういうことだろうといろいろと考えます。次のテストのことを言っているのか、将来のためにと言っているのか。いずれにしても、勉強は良い影響を与えてくれそうだという気になります。そうすると、嫌だと思っていた勉強でも少しは親近感を持てるかもしれません。
「もっとできるようになるって、塾の先生が言ってたわよ」
第三者の発言を引用するやり方です。実際の発言でなくても構いません。お母さんから「もっとできるようになるよ」と直接言われるよりも、インパクトがやわらぎます。第三者の発言ということがポイントなので、当人が知らない人物や架空の人物であっても問題ありません。特に第二次成長期(思春期)の子どもは、自立心が高まり始めるで、親よりも外部の人間を信用する傾向があります。しかしそれは一時のことで、親が最も信用できる人間であると、あらためて分かるときが来ます。
やる気、意欲というのは心理の働きです。相手の心を動かすには、勉強は必要だという理屈よりも、相手の”無防備な”意識にアプローチするのが効果的と言えそうです。