ストレス下の行動が示すもの

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ストレス下の行動が示すもの

人は人生の極めて最初の時期に、一生をどのように生き、どのような結末を迎えるかの”人生の脚本”を書き始めます。それは成長とともに正当化され、強化されていきます。しかし、”人生の脚本”を書いたことはおろか、そんなものを大事に抱えていることさえ、意識にはありません。すべて無意識下に置かれているのです。

 

”人生の脚本”を書くにあたり、そのもとになるのが両親からの言語的・非言語的メッセージだとお伝えしてきました。それらのメッセージの意味は、発した親の意図ではなく、受け取った子どもの感じ方・理解のし方によります。つまり、親が思っていたこととは違う受け止め方をしている可能性があります。注意深く見ていると、それに気づくかもしれませんが、ほとんどの場合、メッセージの直後はわかりません。しばらく時間がたってから”異変”に気づくので、親もメッセージのことなど忘れていて、「この子はどうしてそんなことをする・考えるのだろう?」と混乱します。

 

親は大人でありますが、親が子どものころによく感じていた感情や考え方が、大人になってもかなりの頻度で出てきて、そのときはまるで子どものように振舞います。生まれたばかりのわが子を見て、自分のライバルと感じることもあります。妻の優しさをすべて子どもに奪われたと感じるかもしれません。そのとき、非言語的メッセージで「お前なんかいなくなればいい」と伝えている可能性があります。
あるいは、同じ時期に生まれた近所の子どもと比較して、「○○ちゃんはもうハイハイしてるのよ。お前も○○ちゃんのようになればね」などと話しかけると、子どもは言葉はわからなくても、「ボクのままでいてはだめなんだ」とネガティブなメッセージとして受け取るかもしれません。
このようなメッセージを受けて、子どもは自分の”人生の脚本”を書き上げていくのです。

 

しつけにおいても親は子どもに無数のメッセージを送りますが、その重要性・優先度を決めているのは子どもです。もちろん繰り返しいわれたことは重要性が高くなります。何ごとも「一生懸命努力しなさい」というメッセージを真に受け取った子どもは、それを信念とします。何ごともうまくできない子どもに「早くしなさい」というメッセージを送り続けると、「いつでも急がなければ」という信念を持つようになるかもしれません。

 

乳児のときに親から「お前なんていなくなればいいんだ」というメッセージを受け取った子ども(実際にそうは言われていなくても、非言語的メッセージとして受け取ってます)は、その後のしつけで「一生懸命努力しなさい」というメッセージを受け取ったとします。すると子どもは、「一生懸命努力している限りは、ボクは生きていていいんだ」と決断します。この決断が”人生の脚本”に加わるのです。

 

”人生の脚本”は常にそれを演じているわけではなく、たとえばストレス下にあるときは、一瞬にして”脚本”の中に入っていきます。”脚本”に入り、最初にしつけのメッセージ(信念)を聞きます。このメッセージの内容を実行している限り、自分は安全・安心だと思います。親の”いいつけ”だからです。親がいったことに間違いはありません。
しかし、しばらくするとそのメッセージ「一生懸命努力しなさい」を実行するのに疲れてきます。”一生懸命”できなくなります。そうすると、不安感や罪悪感などを感じ始め、「一生懸命努力できないボクは生きていてはいけない」と考えます。つまり、「私はOKじゃない。あなた(他の人)はOK」と判断するようになります。
自分を責めることは意外とエネルギーのいることで、それよりも他人を責めたほうが楽ということに気づきます。「ボクがこんなに一生懸命やっているのに、なんでみんなわからないんだ」と憤り、「私はOK、あなたはOKじゃない」の判断に変わっていきます。
ところが、しだいにそのようなことが不毛に思えてきて、「人生(または世の中)なんてこんなものだ。どいつもこいつも、自分も全部ダメだ」と感じ始め、「私はOKじゃない、あなたもOKじゃない」と判断するようになるかもしれません。

 

これらの変化は一方通行ではなく、前の状態やその前の状態に戻ったり、また入ったりと、行ったり来たりを繰り返します。また変化する順序も人それぞれです。突然落ち込むような人は、メッセージを実行から直接、「私はOKじゃない、あなたもOKじゃない」に移っているかもしれません。
そして最後に、元のしつけのメッセージを実行している状態に戻り、”人生の脚本”のパターンから抜け出すでしょう。これらの変化はまた、長い時間を要するのではなく、数分から数十分、長くても数時間という非常に短時間で起こります。これは”人生の脚本”そのものではなく、いわば”ミニ人生脚本”のようなものです。したがって、その人の行動を見ていると、その人の”人生の脚本”が推測できます。

 

生きづらさは”人生の脚本”のよるところが大きいです。そう感じているとしたら、しっかりと自分の”人生の脚本”と向き合わなければなりません。多くの場合は専門家のサポートが必要になります。

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