嫌な思い出を引きずりたくない
何かトラブルがあると、「第三者の視点で見る」と言われます。自分の立場からだけでなく、いろいろな見方をして、客観的に状況を把握できれば、解決策が浮かび上がってくるということです。
感情が高ぶっているときは、主観的にしか見れなくなっています。それは、目の前で起こっていることでなくても、過去に嫌な思いをした出来事を思い出すたびに、辛い気持ちでいっぱいになって、再びあの嫌な思いに苦しめられることになります。そんな嫌な思い出がたくさんあると、生きるのも辛くなるというものです。せめて、過去の嫌な出来事を思い出したとき、あまり辛くならないようにできたらと思いませんか?
そこで役に立つのが「第三者の視点」なのです。トラブル解決だけでなく、辛い気持ちも和らげることができます。
なにか嫌な思い出があれば、一つ思い出してください。あなたが誰かに嫌なことを言われたり、されたりしたときのことかもしれません。また、失敗をみんなの前で怒られたときのことかもしれません。
その思い出のイメージは、あなたの目を通して見た映像でしょうか?目の前に相手がいて、こちらを向いてなにかを言っているような。そうであれば、あたかも幽体離脱をするように、自分自身からすぅっと抜け出して、その現場全体を見える位置に視点を移動します。ちょうど、撮影でカメラが引いた映像です。今あなたが見ているシーンには、相手とあなた自身の姿、周りの人や物、それら全部が映っています。
まず、その映像を遠くに移動してみましょう。画像があなたから離れていきます。そして、画を白黒に変えてしまいます。そのとき、あなたの辛い気持ちに変化はありますか?
次に、シーンに伴う音声を弱めていきます。ボリュームを下げるように、少しずつ聞こえる音を小さくしていきます。辛い気持ちはどうなりましたか?
人は記憶をイメージや音などで記憶しています。記憶を思い出すときに、イメージや音を弱めることができれば、感じ方も弱まります。感じ方をコントロールすることができるのです。
反対に、楽しい思い出に浸りたいときは、その逆をすればいいのです。
ずいぶん昔の思い出で、思い出しても遠くにあるように感じるかもしれません。そんなときは、そのイメージを自分の近くにグイと引き寄せます。そして、そのシーンの中に飛び込んでください。今まさにその出来事が起きているかのように、その当時の自分の目で見ている映像に切り替えます。音量も上げましょう。楽しい思い出が一層楽しく感じられるはずです。
もし、あなたやあなたの周りの人が嫌な思い出に苦しんでいるとしたら、感じ方をコントロールして、本来の自分を取り戻してはみませんか。