五感で生きるコミュニケーション
人はものを認識するために五感を使ってます。色や形や大きさだったり、音だったり、温度や質感、においや味も感じます。コミュニケーションにおいても五感はフル活用されています。相手の表情、しぐさ、声の調子、手の温かさなど、いろんな要素を総合的に感じて、一瞬で相手を判断しています。五感なしにはコミュニケーションは成り立ちません。
ところで、人は得意な五感がある、ということを知っていますか?普段、自分自身ではほとんど気にしていないので、自分がどの五感が得意なのか気づいていない人は多いと思います。
たとえば、5年くらい前の楽しかった出来事を思い出してみてください。それは家族や友だちと旅行に行った思い出かもしれません。あるいは何かの目標を達成したり、願いがかなったことかもしれません。
その出来事を思い浮かべるとき、みんなの笑顔や美しい風景、おいしかったごちそうを、写真や動画のような映像から思い出しますか?それとも、みんなとの会話や笑い声、海の波や川のせせらぎの音、乗り物の音などがはっきりと思い出しますか?または、風の心地よさや水の冷たさ、温泉の温かさ、夕食の味などを真っ先に思い出すでしょうか?
もしそうであれば、あなたはそれぞれ、視覚、聴覚、体感覚(触覚、嗅覚、味覚)を得意としているのです。
その出来事を体験している最中はもちろん、五感すべてを使っています。しかし、五感を同じような度合いで使っているわけではありません。自分が得意としている五感で感じたことが、もっとも強いインパクトで記憶されます。ですので、あとでそれを思い出すときでも、得意としている五感の感覚を最初に思い出すわけです。
得意としている五感は人それぞれです。家族でも同じではありません。どうしてそのような違いができるのかは分かりませんが、乳幼児のときの環境(人、場所、もののすべて)に影響を受けていると思います。
得意な五感が異なる人同士でコミュニケーションをするとき、同じことについて話していても、感じ方が異なるということです。感じ方の違いが大きければ大きいほど、コミュニケーションは難しくなります。すれ違いが増えてしまいます。
そうならないようにするには、相手が得意としている五感に気づき、それにうまく話を合わせることができるといいのです。