イメージ、サウンド、フィーリング。あなたはどれ?
良いコミュニケーションを取るには、相手の話し方や身振りなどを自然な感じで合わせてあげると、相手は徐々に心を開いて、あなたの言葉を受け入れやすくなります。相手がどんな言葉を使い、声の調子がどのように変化するか、どんな表情、どんな座り方や体の動きをしているかを知るためには、観察のスキルが必要です。それらを的確にとらえて、少しずつ合わせていけばいいのです。また、前回と前々回にお話したように、観察のスキルは相手の微妙な心の動きもとらえることができます。
日常的にできている人もいますが、一般的には相手の細かな変化まではなかなか気が付かないものです。しかし、それはスキルですので、練習をすれば身につけることができるのです。
さて、相手がよく使う言葉や動作の傾向が分かれば、変化をとらえやすくなりますし、相手に合わせやすくなりますよね。
人は五感を使ってすべてのことを体験しています。自分の周りで起きていることを五感でとらえますが、一度経験したことも内面で同じ感覚を使って再現しているのです。たとえばとてもきれいな海辺に行ったとしましょう。そこでは、どこまで広がる青い空と白い雲、沖に向けてグラデーションを見せる海、白い砂浜、波と風の音、カモメの鳴き声、頬をなでる潮風、揺れる髪、…。同じ状況を体験したとしても、思い出し方には人によって違いがあります。
主にきれいな風景がイメージとなって思い出す人もいれば、波の音やカモメの鳴き声から記憶をたどる人もいます。あるいは、あのときの潮風の感覚、裸足で歩いた砂浜の感触から思い出す人もいるでしょう。
人には優先的な五感があるのです。自分では知らないうちに、得意とする感覚を身につけているのです。動画や写真のようなイメージを思い浮かべやすい人は視覚、音や声に敏感な人は聴覚、体の感覚や感じ方を大事にしている人は嗅覚・味覚を含む体感覚が得意です。これらは視力が良いとか、耳がいいという意味ではありません。視力の良い悪いにかかわらず、出来事や物事をイメージでとらえることが多いという意味です。
相手の得意としている感覚に気づくことができれば、それにうまく合わせ、相手の無意識の共感を得ることができます。親子、兄弟姉妹においても、優先している感覚は異なります。相手の様子をよく観察することで、それが分かるようになります。