練習問題をクリアする目的
塾の日々の学習の中で、ドリルや小テストといった、点数として結果が出るものがあります。当塾では80点以上取れていれば、その単元は合格。次の単元に進むというルールにしています。80点未満ではよく理解できているとは言えず、そのまま進んでしまうと、さらに分からない単元を増やしてしまうことになるからです。「一つひとつ確実に」がスローガンのようになっています。
ところが、長く通っている生徒の中には、80点を取ることが目的になっている子がいます。たとえば、以前に勉強したことがある問題が出題されたとき、あらためて考えたり計算するのではなく、覚えていた答えを書き込んだり、ノートに書いてあった正解を探して解答したりします。本来は考え方、解き方を覚えなくてはいけないのに、80点をクリアするために、正解数を増やすことだけに執着してるのです。これでは勉強になりません。塾ではよくできているのに、学校のテストではできないという原因の一つがここにあるようです。
ドリルや小テストで答えを写すという行為は、自分で考えて解答し、不正解になりたくないという思いからでしょう。不正解、すなわち失敗を恐れるということです。
問題が不正解になったということは、まだきちんと理解できていないか、習熟度が十分でないために不用意なミスをしたということです。だとすると、これから勉強すべきことは、それら不正解になった問題です。ドリルや小テストで不正解になったことで、自分のよくできないところが見つかったのです。不正解は失敗じゃありません。自分の弱点を見つけることに成功したのです。このようにポジティブにとらえることができる生徒は、どんどん伸びていきます。
ただし、どうして不正解になったのかの分析は必要です。かけ算・わり算のミスなのか、符号を間違えたのか、スペルを間違って覚えていたのか。そこらを分析することで、次回はそうしないようにとの意識が働きます。同じ間違いを繰り返しているのは、この分析をちゃんとやっていないからです。
大人の社会でも同様なことが起こりえます。仕事で同じミスを繰り返すのは、そのミスを分析し、自分の仕事のしかたにフィードバックしていないからです。
人間関係においても、他人とうまくコミュニケーションが取れていないと感じたときは、うまくいかない何かに気づくチャンスです。「どこがまずくて、どうしたらいい?」という気づきが得られるはずです。
しかしあまりよく考えずに、行き当たりばったりの対応は賢くありません。試行錯誤と行き当たりばったりは違うのです。