相手の視点に立つ
視点を変えることで、今まで気がつかなかった価値を見つけることができ、マイナスポイントだったものが、プラスに転換できることもあります。自分の短所だと思っていた部分が、見かたを変えると長所になったり、それを生かせる場面を発見できたりできるのです。そんなお話を前回しました。
視点を変えると言っても、慣れないと簡単なことではありません。人は基本的に、自分のことしか考えていません。自分の基準、価値観に照らし合わせて人を評価しています。したがって、対人関係でトラブルが発生すると、「悪いのは彼(彼女)だ。自分は正しい」と考えます。こう思っている以上、自分の考えは変えず、相手を変えようとしたり、変わるのを待ちます。しかし、相手は簡単に変わりません。なぜなら、相手だって同じように考えているのですから。ここに気づかないことこそ、自分のことしか考えていない証拠なのです。
ところで、人の親になると、自分が子どもであった頃のことは忘れてしまうようです。子どもの頃、そんなに勉強が好きではなく、家ではせいぜい宿題をやる程度。テスト勉強も一夜漬けばかりだった人が、自分の子どもには毎日しっかり勉強するように言ったりします。自分の経験から、勉強をしないとあとで苦労することや夢が叶えられないということを知ったからです。よく思い出してみると、自分も親から同じようなことを言われていたのではないでしょうか。しかし、都合の悪いことは忘れるものです。
自分がそうであったように、自分の子どももまた同じように振舞います。つまり、勉強をしません。悲劇か、喜劇か、これは代々続いていくのです。どこかで断ち切りたいですよね。
親は親の立場で物事を考え、子どもは子どもの立ち位置で考えます。そうであれば、相手の立場で一度考えてみてはどうでしょう?子どもが親の立場で考えることは難しいので、親が子どもの立場で考えてみることになります。子どもは親を経験していませんが、親は子どもを経験しています。
「さあ、相手の立場になって考えてみなさい」と言われても、頭の中にそのイメージを作るだけではどうもしっくりこないということも多いかと思います。
そういうときは、物理的な空間の違いを利用します。つまり、自分として考えている場所や位置と、相手になって考えている場所や位置を変えるのです。考える場所を変えることで、視点も変えやすくなるから不思議です。
この続きは次回に回しましょう。