相手の心を開く会話のコツ
コミュニケーションとは、こちらが伝えたいことを相手が受け止め、こちらの期待する反応が相手から返ってくることで成立します。こちらが一方的に伝えたり、単に相手の話を聞くだけというのはコミュニケーションではありません。あなたが心から、お子さんにこうしてほしい、こうなってほしいと願うのであれば、あなたが最初にやるべきことは、お子さんとの良いコミュニケーションを築ける状況を作ることです。
これまでにこのブログでお話してきましたように、良いコミュニケーションを築くためにはお互いの感情的信頼関係が必要です。自分が相手のことを信頼するのはもちろんですが、相手に自分のことを信頼させなければなりません。自分のこと理解してくれているという信頼を相手におけると心が開きます。「この人には何を言ってもきちんと理解してもらえる」と思うので、本音で話すことができます。
たとえ親子であっても、お互いに相手がいつも自分の伝えたいことを理解してくれるわけではないというのは、経験から実感できるのではないでしょうか。何もしなくても「私の言うことは子どもはすべて理解している」や「子どもの言いたいことは全部理解できている」というのは、理想を追いかける上の幻想にすぎません。
良いコミュニケーションを築くにはまず、きちんと相手に向き合うのです。向き合うといっても、お互いの顔を見つめあうということではなく、相手にあなたの意識を集中するのです。
相手の話を聞くときは、相手の様子をよく見ましょう。表情や身振り手振り、言葉づかいや声のトーンにも気を向けます。ジロジロ見られると、相手は話しにくいですから、何気なく観察できるようにならないといけません。ときには言っている言葉と、表情や身振り手振りが一致しないことがあるかもしれません。そんなときは、言葉を信じてはいけません。その裏に別の本音があるはずです。前々回にお話したように、相手の言ったキーワードや最後の言葉を使って相づちや返答を繰り返します。それだけで相手は「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じるので、徐々に本音を話し始めるでしょう。
会話の中で、あなたは常にお子さんの表情や身振り手振りを見て、言葉づかい・声のトーンや息づかいの様子・変化にも気を配ります。そして、お子さんと同じように振舞ってください。前のめりに話していれば、あなたも体を前に傾けます。飲み物を飲めば、あなたも飲みます。興奮して早口になれば、あなたも早口で返答します。怒っているなら、一緒に怒ってみましょう。まったく同じようにしようと思うとぎこちなくなります。7割くらい合わせられると上出来です。
お子さんはあなたが同じように振舞っていることに気づかないかもしれません。たとえそうであっても、無意識の中では自分との共通点を感じ、安心・安全、そして親しみを増していきます。そうなることで、自然と心が開くのです。