してほしい行動を誘う言葉かけ
寝起きや疲れてぼーっとしているときや、仕事や大好きなテレビ番組に集中しているときは、周りの音に気がつかないことがありますよね。これはトランスと呼ばれる意識・心の状態です。最近では「ゾーンに入る」という言い方をよく聞きますが、これもまさにトランス状態です。
この精神状態のときは、周囲からの刺激に対する意識が低下するので、いちいち反応、反発、抵抗が起きにくくなります。アスリートがスーパープレーをしているときは、観客の声が聞こえなくなるり、自分の明確な意思からではなく、自然と体が動くといいます。表層意識で周囲に反応していないので、意識と無意識が一体となってプレーに集中しているのだと思います。
これをコミュニケーションに応用できれば、わがままなわが子も、お母さんのいうことを抵抗なく受け入れるはずです。
トランス状態にも程度がありますが、軽い状態でも抵抗は起きにくくなります。そのような状態に導くには、言葉の使い方がポイントです。もちろん、信頼がおける相手であることが前提です。例をいくつか示します。
「おやつは勉強の前?それともあと?」
勉強しなさいと言われると抵抗感を持つ子でも、このように聞かれると、おやつを食べるのが勉強の前か後かを考えますが、勉強するという前提があるので、勉強することへの抵抗が弱くなります。
「最初に英語?それとも数学をやる?」
最初にどっちの科目を勉強するかを聞かれていて、それに意識が向くので、勉強自体をしないというようには考えなくなります。
「どのくらい勉強する予定?」
まったく勉強しない子に対して、少しでも勉強させたいとき、このように聞いてみます。少しは勉強しなさいと言われると反発したくなりますが、どのくらい(長く)勉強するの?と聞かれると、その時間を考えるようになり、勉強するという前提が刷り込まれます。
「いつ始めてもいいのよ」
子どもはいつ始めるかの答えを探すことになりますが、勉強することがすでに意識に設定されています。この場合、あまり先延ばしにしないほうがいいですね。
「すごいと思うんだけど、やる気になってるみたいね」
お母さんがすごいと思っているということに引き寄せられて、やる気になっているかどうかに疑問を持たなくなります。
これらの言葉は唐突に言っても違和感を感じられるだけです。親子のコミュニケーションを十分に取り、打ち解けた状態で切り出してみましょう。
また、上記のいくつかの例を組み合わせて使うことができれば、よりパワフルになります。たとえば、「お母さん、今気づいたけど、やる気になってるみたいね。勉強はいつ始めてもいいわよ。おやつは勉強の前にする、あとにする?」こう言われると、勉強しないわけにはいきません(笑)。