心に届く話し方。
「この問題を解けるようになっておけば、テストで高得点が取れるよ。」
「この問題を解けるようになっておけば、テストに失敗しないで済むよ。」
この2つのフレーズは同じことを言っているように見えます。しかし、これを聞いた生徒によっては受け取り方が違います。ある生徒は「高得点が取れる」という言葉に強く反応します。日ごろからテストで少しでも良い点数を取ろうとして勉強しています。テストの成果(学力)を求めています。
また、ある生徒は「失敗しないで済む」という言葉に心が動きます。テストで間違えてしまうことを恐れています。そして分からない問題がないように、ミスをしないように勉強しています。
どちらの生徒もテストで良い点数を取りたいと思っていますが、どちらのほうが勉強できるかということではありません。勉強ということに対して、どのような考え方の傾向を持っているかということなのです。その傾向は言葉遣いにも表れます。前者の生徒は「取る」や「得られる」という言葉をよく使います。後者の生徒は「避けたい」や「望まない」という言葉をよく使います。
生徒のそのような傾向を把握したうえで、その生徒の心が動く言葉を使って話をするとメッセージが届きやすくなり、動機づけしやすくなります。
「今この勉強をしておくと、3年生になってもバッチリだよ。」
「今この勉強をしておくと、3年生で苦労しないと思うよ。」
このような考え方や行動のパターンの違いに良い・悪いはありません。どちらにも役に立つ状況はあり、価値があるのです。また、物事によってその傾向が逆転することもあります。勉強では高得点を取るという目的達成型であっても、部活のときはミスをしないようにと問題回避型かもしれません。
大人でも「仕事が成功するように」と考える人がいれば、「(失敗しないで)うまくいくように」と考える人もいます。コミュニケーションでは相手にうまく合わせることで、信用・信頼が生まれ、伝えたいことがより効果的に届くようになるのです。また自分の傾向を知っていると、うまくいかなくなった時に、逆の発想でトライすると成果をあげやすくなることがあります。
自分と相手。両方を知ることでよりすばらしい人間関係が築くことができます。