性格にあった言葉
人には性格があります。性格の形成は乳児期に始まり、環境によって具体化していきます。少年期における性格の形成は親の影響を強く受けます。それは親と同じ性格を引き継ぐということではなく、親の行動、認知、情動と周りの反応がその子の性格を新たに作り出すということです。
「うちの子はあんな性格です。誰に似たんだか」
自分では気づかないうちに、子どもの性格を形成する手助けをしていたのです。兄弟姉妹でも性格が異なりますが、同じ親なのにどうして?と思うかもしれません。それぞれの子どもにとって環境は同じではありません。自分の上や下に兄や姉、弟や妹がいます。そのことによって親の対応も変わります。経済環境も変われば、衣食住も変わります。親の知識、認識にも変化があるはずです。よって、兄弟姉妹の性格の違いを責めることに意味はありません。
性格とは行動、考え方、感情のパターンと言えます。パターンは無数にあります。同じパターン(同じ性格)を持つ者同士が仲良くなることは多く見られますが、反対に違うパターンの人に惹かれることもあります。
性格が異なるからといって、それを無視して接しても、コミュニケーションが成り立たないことは明白です。自分と同じ性格の人たちだけと付き合い、生活することも不可能です。心地よい人間関係と良好なコミュニケーションを築きながら、お互いに自分の望む生き方をすることが、社会で生活する私たちにとって大切なのではないでしょうか。
良好なコミュニケーションを作るには、相手の性格、すなわち行動や考え方、感情のパターンを知ることが必要です。そのうえで、相手が好む表現を使うことで相手からの信用が得られ、相手の心が開くのです。
自分の子どもがおっとりした性格としたら、せわしくけしかけるような話し方は逆効果です。ほとんど受け入れられないでしょう。おっとりしているように見えるのは、状況をよく見極めようとしているのかもしれません。そういう子には「考えてみよう」や「できるかもしれない」という表現が有効です。逆にせっかちな子どもには「とにかくやってみる」や「あなたならできる」という表現が響きます。
勉強の動機づけにおいても、「○○高校に行きたい」と強く考えている子には「達成する」や「ゲットする」などの獲得をイメージさせる表現、「今度のテスト、悪かったらどうしよう」と考える子には「(失敗を)避ける」や「(問題を)解決する」という表現が有効です。
実際にどんな言葉を受け入れるのか、響いているのかは、それを聞いた時の表情やしぐさなどの反応をよく見ることで分かります。
言葉の使い方ひとつでやる気にさせたり、やる気をそいだりするわけですから、言葉は大切なんです。