子どもの話をきちんと聞けていますか?
たとえ親子の間であっても、コミュニケーションを取るためにはお互いの信頼関係を築かなければうまくいきません。親子ですのでもちろん信頼しあってはいるのですが、コミュニケーションにおいてはお互いを認め、感じ方や価値観を共有し、共通する言動をすることで、安心感が得られ、心を開くことができるのです。そのような状態になければ、相手は「話を聞いてくれてない」「意見が合わない」などと、会話をあきらめてしまうかもしれません。
大人は自らの経験から子どもに対して、ああしなさい、こうしなさいと、”アドバイス”を与えることがままあります。怒るような口調で、ときには脅しを加えながら、とうとうと諭そうとします。しかし、信頼関係が築けていない場合は、子どもは一時的にはそれに従いますが、すぐにまた元に戻ってしまします。それは、せっかくの”アドバイス”が、子どもの心の底に落ちていないからです。
良いコミュニケーションをするために信頼関係を築くのは難しいと思うかもしれません。しかし、それは誰でも自然にやっていることなのです。
仲の良い家族や友だちと話がはずんでいるとき、自分でも気づかないうちに、相手から信頼され、心を開かせているのです。
「昨日、買い物に出かけたらね」
「うんうん、買い物ね」
「そう、そしたら○○さんに偶然会ったの」
「○○さんに?」
「○○さんったら、すっかりオヤジになってて」
「オヤジ?」
「そうなの。吹き出しそうになった」
会話はキャッチボールに例えられます。お互いに1つのボールを投げあうのですが、相手からボールを投げてもらうためには、自分も相手が受け取れるボールを投げてあげないといけません。
上記の会話では、聞き手は相手の言った言葉を使って返答しています。それを弾みにして、小気味よく会話が進んでいます。話題を提供しているほうは、相手がきちんと自分の話を聞いてくれていると感じるから、次の言葉がスムーズに出てくるのです。
前回のブログでご紹介した、親子の会話の冒頭は、以下のように変えてみてはどうでしょうか。
「こんな成績でどうするの?高校に入れないよ」
「うん。わかってる」
「わかってるのね。それで、どうしようと思っているの?」
「まじめに勉強する」
「一生懸命にということね。で、どうするの?」
怒るだけでは、子どもも良いアイディアを出せません。あるいは助言をもらいたいと思っていても、その気がなくなってしまうかもしれません。子どもの話をちゃんと聞いてあげることで、子どもは自分のことを大事に思ってくれていると感じるのです。