やる気の肩
「うちの子、家では集中できなくて。」
そうおっしゃるお母さまは多いようです。勉強を始めたかと思えば、すぐにブラブラし出して、30分と勉強が続かないといいます。勉強しているより、ブラブラしている時間のほうが長いそうです。短時間で成果が出ることもあるかもしれませんが、絶対時間が足りなくなるはずです。
集中できない原因はいろいろあると思います。よく分からない嫌いな教科。スマホやゲームなど、他の興味を惹かれる存在。寒い・暑いやうるさいなどの環境。そのときの体調。
排除できるものは排除しましょう。スマホやゲームは目に付くところに置かない。環境や体調には気を配る。そういった対応はお母さん・お父さんの協力も必要です。中学生くらいまでは、自分で環境を整えられる子はそう多くありません。日頃から気をつけたいものですね。
さて、嫌いな教科というものはなかなかモチベーションが上がりません。やってもやってもできないと感じてしまうからです。本当は好きな教科ほどちゃんと勉強できていないからなのですが、本人は一生懸命やった気分でいます。まさに気持ちの問題です。
嫌いな教科でもやる気を引き出せるといいですね。
ところで、何かを見ると、決まってある出来事を思い出すということはありませんか?たとえば、きれいなお花畑の写真を見ると、何となくのどかな安らぎを感じたりしないでしょうか?それはおそらく、以前に行ったお花畑がものすごくきれいで、とてもいい気分になったことを強く覚えているからです。無意識の中の記憶です。お花畑を見たことがない赤ちゃんにその写真を見せても、大した反応はないはずです。
生物学で反射といわれる反応です。これを使ってやる気を引き出すことができるのです。
まずは反射を作ることから始めます。
やる気を引き出すために、これまでに一番がんばったことを思い出してください。
「今までで、一番集中してがんばったことって何だっけ?」
一つや二つはあるはずです。勉強に限らず、部活でハードな練習に耐えてうまくなったことでも結構です。その時の状況をゆっくり思い出させてください。どんなことをしていたか。その時の気持ち。周りの様子。そしてうまくいったときの気持ち。それらをできるだけ細かく思い出します。細かければ細かいほどリアルさが増します。小さな質問を繰り返しながら、その時の状況を語らせます。
そして、いい気分のピークになったか、ならないかのタイミングで、肩をポンと軽く叩きます。背中でもOKです。頭は人間にとって最も大事な部位なので、警戒が生まれます。叩かないほうがいいでしょう。
少し時間をおいて、何回か繰り返します。別の同じような印象的な出来事があれば、次はそれを利用しても構いません。
何回か、ポジティブで印象的な出来事を思い出すことで、その記憶はさらに強くなっていきます。そして、なんでもないときに、ポンと肩を叩かれると、その時の出来事が自動的に思い出され、いい気分がよみがえってきます。反射です。ダラダラしているときにも、肩を叩かれるとやる気が出てくるはずです。
私の塾の授業中でも、がんばって難しい問題が解けたときには、「よくできたね。すごいね。」と声をかけて、肩や背中をポンと軽く叩くことにしています。これを積み重ねることで、「やる気スイッチ」が入りやすくなるのです。