こんなもの、どうして勉強するの?
数学の連立方程式を勉強している生徒から、不意に質問されました。
「どうしてこんなものを勉強しなければならないの?将来、絶対に使わないよね?」
一瞬、答えに詰まりました。たしかに大人になって連立方程式を解いている人はそう多くないはずです。
それではなぜ今、連立方程式を習うのでしょうか?専門知識として、使う人だけ習えばいいのに。
私なりの答え方でその生徒に話をしました。
「大人になると、数えきれないくらいの難しい問題と出会うはず。社会の問題、仕事の問題、人間関係の問題などたくさん出てくるんだよ。たぶんそれらは数学の問題より難しいと思うよ。
数学の問題を解くとき、どうしてる?
まず、与えられた条件(状況)と何を求められているかを確認するよね。次に、どんな解き方があるか、それまで勉強してきたこと(経験)を思い出し、一番いいと思うやり方で取りかかるでしょ?そして、一つひとつの計算手順を間違えないように、確かめながら計算を進める。すると何となく答えが見えてくるけど、そこで安心はしない。最後まで丁寧に計算を進めて、出た答えをきちんまとめて書くよね?
このやり方って、実は大人になってから遭遇する難題を解決する方法と同じなんだよ。大人の人はみんな、そんなふうに仕事や生活をしてるんだよ。そう見えないかもしれないけど(笑)。
だから、大人になってから困らないように、考えるための力を付けるために勉強しているんだ。一つひとつ考えていくクセをつけることは大切なことだよ。ほら、部活でも入ってきたばかりの1年生がいきなり試合にはでないでしょ?試合に出るために一生懸命練習しないとね。」
私はよく勉強をスポーツに例えます。経験のない素人がいきなり試合に出られるわけがありません。何回も何回も練習して技術を身につけて、なんとか試合に出たとしてもあっけなく負けてしまうこともあります。そしてさらに練習をする。もっとうまくなるために、そして勝つために練習を続けます。勉強だって同じですよね?