いつまでしゃべってるんだ!
子どもたちと接していると、彼らの言動の中にいろんな”くせ”を発見します。
ある女の子は、勉強が終わったら机の消しゴムのクズをきれいに掃除して、イスを机の中にしまいます。トイレのスリッパもきちんと揃えます。お母さんのしつけがいいのだと感心します。
ある男の子は教室に来たときと帰るとき、はっきりした声であいさつをします。また、プリントをもらったときは「ありがとうございます。」とお礼を言います。基本的なマナーであるあいさつができているのです。簡単なようで、ちゃんとできる子はそんなに多くはいません。やはり、ご家庭がしっかりしているのだなと敬服します。
一方で、あまり良くない”クセ”を持つ子もいます。ある中学生の男子はおしゃべりが止まりません。何べん注意しても、すぐにまた周りの生徒とおしゃべりを始めます。学校でも同じだそうです。
別の男子は大口をたたきます。「次のテスト、100点以外取る気がしない」と言いつつ、結果は60点台でした。「どうしたの?」と聞くと、「ケアレスミスがちょっと多かった」そうです。ケアレスミスで何十点もロスしません。明らかに勉強不足です。
どうして何回も怒られ、気まずい思いをしているにもかかわらず、その”クセ”を直そうとしないのでしょうか?本人も「またやってしまった。」と嫌な気持ちになっても、しばらくするとまた同じことをしてしまうのです。誰でも、やりたくないと思っていても、ついやってしまうということがありますよね?
実はやりたくないと思っている行動にも、潜在的に何らかの目的があると言われています。それは自分にとってプラスになるものです。その”肯定的な意図”が無意識に働いて、ついやってしまうということになっているのです。
では、授業中のおしゃべりにはどんな肯定的な意図があるでしょうか。例えば、友だちと仲良くしたいという気持ちが強いのかもしれません。また、勉強の緊張感を和らげたいという思いがあるのかもしれません。
ビッグマウスの彼はどうでしょう?自分は優秀だと思ってもらいたいのかもしれません。それによって、他の生徒よりも大事に扱ってほしいと思います。
意図が向かう方向はどうであれ、そのことは本人にとって”良いこと”をもたらすと信じています。しかし、その行動をするたびに、期待した”良いこと”以上に嫌な思いをするのであれば、行動を変える必要があります。そのためにはその”隠れた意図”に気づき、そして、そんなことをしても自分によって”良いこと”は得られないということを理解しないといけません。
ただ、それらの行動を生かせる状況が必ずあります。たとえば、おしゃべりな子は無口な子と出会ってもコミュニケーションがすぐに取れるようになるかもしれません。また、大口をたたくクセのある子は、大人になって仕事で交渉の場でイニシアティブを握れるかもしれません。それらの行動を生かせる場と、そうではない場をきちんと区別することが大切です。