お母さん、分かってくれてた。

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お母さん、分かってくれてた。

前回の続きです。

 
「お母さんが私の話を聞いてくれないんです。」

受験の不安からくる悩みをお母さんに聞いてもらおうとしたら、お母さんはいつも通り励ましてくれました。しかし、逆に娘はさらに不安になってしまいました。お母さんが自分の気持ちを分かってくれないと思ったからです。
娘は、お母さんの対応をある程度予想していました。お母さんはどちらかというと、楽観的でイケイケの性格だそうです。いつも明るく励ましてくれるので、落ち込んだ時でもお母さんと話すと元気になることができました。しかし今回は少し違いました。
娘は今までにない不安感と予想されたお母さんの対応から、いつも仲の良いお母さんに対しても、心を完全に開いてはいなかったようです。

心は開こうと思ってできるものではなく、無意識の中において開いていくものです。そのためには、相手に対して信頼感や安心感を持たないといけません。逆に言うと、相手は自分のメッセージを届けるためには、自分に対しての信頼感や安心感を持ってもらわないといけないのです。

 

そこで、このお母さんにちょっとしたアドバイスをしました。その後、娘は再度トライしました。

「お母さん。私、○○高校は無理かも。」
前回と同じように切り出します。

「あら、○○高校は無理だと思っているのね。」
ご飯したくの手を休め、娘がいるダイニングテーブルのところへ来て、隣の席に座りました。
「どうしてそう思ったの?」
娘の顔を覗き込むようにたずねました。

「だって、勉強してもテストの成績が上がってこないんだもん。」
お母さんの顔をチラッと見て言い始めましたが、すぐに下を向いてしまいました。

「そうね。まだ安全圏には入ってなかったわね。」
お母さんもうつむき加減に言います。

「志望校、下げたほうがいいかな?」
より小さな声でこのように切り出しました。

「ランクを落としたほうがいいかなと思っているのね?」
お母さんも前より少し小さな声で聞いてきました。

「でも、○○高校に行きたい。他の高校は嫌なの。」
顔を上げ、お母さんの目を見て言うことができました。

「そうよね。○○高校に行きたいって、ずっと思っていたものね。すてきな高校だし、行けたらいいよね。」
お母さんも娘の目を見て応えてくれました。

「私、行けるかな?○○高校に。」
深呼吸をしたあと、絞り出すようにこう聞いてみました。

「お母さんは行けると思うな。だって、がんばってるんだもん。お母さんの娘だし。」
お母さんは笑顔でこう言ってくれました。

「私、もう少しがんばってみる。やるだけやってみないと、ね?」
娘もようやく笑顔になれました。

 
お母さんは何もアドバイスらしいことは言っていません。ただ娘の隣で話を聞いて、娘の言葉を繰り返していただけです。この時、お母さんは言葉を繰り返すだけではなく、娘のしぐさや息づかい、声の調子を合わせていたのです。わざとらしくではなく、自然な感じで娘と同じような言い方や身体の動きをしていたのです。

実はここに、相手が心を開く秘訣があるのです。
言葉を繰り返すことで、相手は自分の言っていることを聞いてくれていると感じます。さらに自分と同じようなふるまいをしてくれることで、親近感が増すのです。それらは無意識の中で起こります。無意識の中で心が開くと、素直なコミュニケーションができるようになります。
そして最後にお母さんは自然に励ましました。娘はやる気を取り戻したようです。

 

「お母さん、分かってくれてたみたい。私、がんばってみる。」
塾に来て、いつもの笑顔でそう言ってくれました。

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