言ったことが伝わらない
ケアレスミスがなかなかなくならない生徒は少なくありません。
「ゆっくりやっていいから」、「もっと慎重にやってみよう」、「答えを書いたあとに、もう一度チェックしてみよう」などと、いろいろ言ってはみるものの、目立った改善はありません。慣れてしまえばミスは減るだろうと思っていますが、やり方を覚えてから完全に慣れるまでの間に、かなりの確率でミスを繰り返すという子もいます。
心理学にアクションスリップという用語がありますが、慣れ親しんだ日常的行動においても、何かのきっかけで注意が向けられなくなったとき、ミス(エラー)が発生します。計算の途中で、注意が抜けてしまう瞬間があるのかもしれません。計算に慣れるために、たくさんの練習問題をするのとは別に、1問を解き終えるまで注意を集中させる力を養う必要がありそうです。
ケアレスミスとは違って、言われたことをなかなかできないという子もいます。
「何度言ったら分かるの!」
お家でもつい怒鳴ってしまうことってありますよね?そして、どうしてちゃんとできないのか悩み、ときには悲しくなってしまうこともあります。
言ったことが伝わらない、言ったのにやってくれないと感じるとき、それば相手に原因があると思いがちです。たしかに相手に原因があるかもしれません。しかし、「伝わらない」のは伝えようとしているあなたにも原因がある場合があるのです。使い古された言い方ですが、コミュニケーションは”一方通行”ではありません。相手が、あなたの言葉を受け取り、それをまた返してくれることで、コミュニケーションは成立します。
あなたがお友だちとテニスのラリーをしているところを想像してください。ラリーを続けるためには、相手が返しやすいボールを打たなければなりません。あなたが打ったボールが返って来ないのは、返せないボールを打ってしまったからです。
コミュニケーションも同様。相手が、あなたの期待するような反応を返してくれるような言い方をしないといけないのです。相手の状況をよく見て、必要ならばあなたの言い方を変えてみましょう。あなたのひと工夫で、コミュニケーションがうまくいったとしたら、こんな気分のいいことはないですよね。