わたしはダメなんだ

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わたしはダメなんだ

先週、期末テストがあり、今週はその答案が返却されてきます。思った以上にできていたテストもあれば、「うそ!?」と目を疑いたくなるような悪い点数のテストもあるかもしれません。そんな中で、テストを返されたとき、先生から次のように言われたという生徒がいます。

「もっとがんばるように。」

そのように言われて、「ああ、わたしはダメなんだ。」と思ってしまったようです。それまでの小テストなどでは、「がんばったね」とか「よくできたね」と言われていたそうです。点数を聞くとそう悪くはありません。80点以上取れています。もちろん、平均点をだいぶ上回っています。それなのに、先生は自分のことを評価してくれていないと感じたようです。

言うまでもなく、生徒によって点数の受け止め方はさまざまです。平均点を取って「やった!」と喜ぶ子もいれば、90点以上取っても「まだまだだ。」と思う子もいます。頭がいいとか悪いとかではなく、目標の設定が違うのです。いつも平均点の子でも、目標を変えると、95点でも満足はしないかもしれません。

さて、どうして80点以上取れていたのに、「わたしはダメだ」と思ってしまったのでしょうか?
それは、先生が言った「もっとがんばるように」という言葉の受け止め方に原因がありそうです。

 

人は何かを体験するとき、そこで起きているすべてを意識できているわけではありません。たとえば、あなたが大好きなテレビ番組に熱中しているとき、周りの物音や明るさの変化、もしかしたら足のしびれにも気づいていないかもしれません。1つのことに意識を向けると、他の感覚は”省略”されてしまうのです。
また、もしあなたが誰から「きれいですね」と言われたとします。そのまま受け止めて、「ありがとう」と答えることもあると思いますが、「何か下心でもあるのではないかしら?」と思ってしまうこともあるかもしれません。「きれいですね」という言葉を”歪曲”して受け止めているのです。
あるいは、何かの集まりで自分の意見が通らなかったとします。そんなとき、「いっつも私の言うことを聞いてくれない」などと思ってしまうことはありませんか?たぶん「いつも」ではないと思います。たまたま、そのようなケースが重なっただけでしょう。それなのに、いつも同じことが起きるというように、無意識に”一般化”してしまっています。

 

ところで、あなたは地図を使っていますよね?
クルマを運転するときはカーナビ、街の中の目的地を調べるときはGoogle Mapなどを使います。それらの地図には現地のすべてが描かれているわけではありませんよね?建物の色や形、道路のでこぼこ、道路沿いの街路樹や花壇も描かれていません。実際の場所と比較すると、かなりの情報が省略されています。また、地図記号によって、消防署がどんな形だろうと、同じ記号で表しています。さらに、地下道はあたかも地上にそれがあるかのように表現されていませんか?
地図は使う目的に合わせて、あまり大事ではない情報を省略したり、簡潔化しているのです。目的に応じて、使う地図を選択する必要があります。お友達と約束したレストランに行くのに、地球儀を持っていく人はいませんよね?

実は人の意識も、何かを体験するたびに、自分がそのときに必要と感じた情報だけで、心の中に”地図”を作っていると言えるのです。一度作った地図はなかなか捨てられません。長く生きている分、ものすごい数の地図を持っていることになります。それなのに、その存在にはなかなか気づけないのです。
強烈な体験によって、一部の情報だけで作った地図は、その後のいろいろな体験で引っ張り出されてくるのですが、あまり役に立たないことのほうが多いかもしれないです。そこに気づくことができたら、そんな地図は捨ててしまえるのに。

 

最初の生徒の場合も、先生から「もっとがんばるように」と言われたとき、以前に作って大事に持っていた”役に立たない地図”を持ち出してきてしまったのでしょう。
先生の言い方を変えなくても、もしその”役に立たない地図”に気づき、それを捨てることができれば、先生の言葉を違った受け止め方ができます。

「あ、先生はもっとできると思ってくれているんだ。次、がんばろ!」

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