あいまいメッセージの効果
前回の「抽象的な話し方でやるきを引き出す」という内容をもう少し考えてみましょう。
抽象的であることは、あいまいさにも通じます。あえて、あいまいなものの言い方をすることで、聞き手に自由な解釈をさせることができます。ビジネスではあいまいさはトラブルの原因になりますが、コミュニケーションにおいては、具体的な内容より抵抗や反発が起きにくく、こちらからのメッセージを受け入れやすくなります。
あいまいな言い方でよくあるのが、主語や目的語の欠落です。
「きっとできるわ」、「力が入るわ」、「いい勉強してるね」
「何が?」と聞き返したくもなりますが、聞き手は「自分のことだ」などと勝手に判断します。また、程度を表す表現でも、どのくらいなのか判断できない言い方もあります。
「すばらしいわ」、「最高だね」、「充実してるね」
一方、あいまいというよりは、事実ではないことでも、あたかも事実のように言うこともできます。
「集中すると、本当の実力を出せるわ」、「ここでがんばれば、後で良かったと思うわ」、「不安になるのは、向上心がある証拠よ」、「やればできるはずよ」
さらには、物事には例外はつきものですが、例外を認めない言い方をすることで、必ずそうなると感じさせることもできます。
「お母さんもお父さんも、みんな同じ大変さを乗り越えてきたの」、「結果なんて考えなくていいから」、「勉強はみんな役に立つものなのよ」
以上の内容を盛り込んで、メッセージを作ってみました。シチュエーションが分からなければ、何のことを言っているのか分かりません。でも、聞いた側では、「自分のことを考えてくれている。自分はがんばれているんだ。」というように受け止めます。それはさらなるやる気を引き起こします。
「いつもがんばっているわね。今度こそやってやろうって思っているのね。その気持ちがあれば、何でもできるわ。すばらしいわね。みんな応援してるわ。でも、無理はしなくていいのよ。やるべきことをやればいいの。」