意図をかなえるコミュニケーション
お子さんと良い親子関係をキープするには、良いコミュニケーションが必要なことは言うまでもありません。良いコミュニケーションを築くためには、言葉のやり取りだけでは足りません。いくら理路整然に、一点の矛盾もないように話すことができたとしても、お子さんはちゃんと受け止めてはくれないかもしれません。コミュニケーションにおいても、相手の心を開くことが先決です。相手の心が開かないままコミュニケーションを続けても、あなたの思いは相手に伝わりません。
前回、相手の心を開くために、安心感・信頼感を持ってもらわなければならないというお話をしました。その一つとして、身振りや姿勢、話し方などを相手に合わせるという方法があります。そうすることで、相手は無意識に安心感を持つようになります。
相手が十分に安心し、信頼してくれたところで、あなたの望んでいることを伝えることができます。お子さんに「こうしてほしい」、「こうなってほしい」ことは、ここでようやく伝えられるのです。
コミュニケーションはもともと、何らかの意図を持って始まります。良いコミュニケーションを続けているうちに、その意図が共有され、両者に受け入れられるようになります。また、意図とはその人が求める”望ましい状態”であると言えます。コミュニケーションを通じて、相手をあなたの望ましい状態に導こうとしているのです。子どもに「こうしてほしい」、「こうなってほしい」というのは、まさにこのことですね。
心が開いていない状態、安心感・信頼感をあまり感じていない状態では、あなたの望ましい状態に相手を導こうとしても、うまくいきません。伝わらないのは、あなたが言っている内容が間違っているからではなくて、相手が心を開いていないという、そのことだけなのです。
「午後から○○君のところへ行ってくる。」
「○○君のところに行くのね。」
「うん。学校があるときはなかなか遊べないから。」
「部活や塾で忙しいからね。宿題ってたくさんあるの?」
「うん、た~くさんある。いやになっちゃうよ。4時に帰って来るから、それからやるよ。」
「4時か。じゃあ、おやつ作って待ってるね。」
「サンキュ!」