無意識の中にあるやる気を引き出す
なかなか勉強しない子に、単に「勉強しなさい!」を繰り返しても効果がないというお話をたびたびしてきました。
質問や問いかけを重ねていくことで、子ども自身が勉強しなければいけないこと、その価値に気づかせることができます。
さて、相手に何かやってもらいたいとき、相手をその方向へうまく誘導できたらいいですよね。相手に合わせながら、やってもらいことをメッセージとして伝える。そしてそれを自然と受け止めてもらえる。そんなコミュニケーションができれば、結びつきもさらに強くなります。
コミュニケーションにおいては、聞き手が間違って受け取らないように、できるだけ具体的に話したほうがいいですよね。
でも、あえて曖昧な表現を使うと、相手は細かいことを批判したり判断したりしないので、自分に都合よく解釈してくれて、受け入れやすくなるということもあるのです。
あるいは、相手にやってもらうことがすでに前提としてあるような問いかけをすると、自然と受け入れてしまいます。
また、たとえ話をしたり、誰かの言葉を引用することで、強引さが弱まり、抵抗を抑えることができます。
要するに相手は無意識にあなたのメッセージを受け入れてしまうのです。
「最近がんばってるね。バッチリだね。」
何をがんばっているか、何がバッチリなのか、あえて言いません。相手は、昨日勉強したのを褒められたのか、と勝手に考えます。
「あ、今、勉強しなきゃって思ってたでしょう?」
もちろん相手が何を考えているかわかる訳がありません。でも自分のことを分かってくれていると思ってしまいます。
「ご飯の前に勉強する?それともご飯のあとに勉強する?」
いずれにしても勉強することが前提になっています。その答えはご飯の前かあとかだけです。
「今日は英語?それとも数学の勉強をするの?」
これも同じ。勉強しないという答えはなく、英語か数学かというだけです。
「お父さんが『勉強を続けることが大事だ』って言ってたわよ。」
お母さんからの直接のメッセージではなく、間接的に伝えることで抵抗が和らぎます。
このような会話は誰もが普段から使っていると思います。ただ、意図して使っているかどうかで、期待する効果は変わります。
このとき重要なことは、それ以前に相手との信頼関係が築かれていることです。そうでなければ、発言自体を受け入れてくれないかもしれません。
この手法、広告やCMにも実にたくさん使われていることにお気づきでしょうか。
たとえば、「さ~らりとした梅酒」や「やっちゃえ、ニッサン」などもこの手法です。他にもいっぱいあります。探してみてください。